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ゼロ・グラビティ GRAVITY
2013年 アメリカ 91分
監督・脚本:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック(ライアン・ストーン)、マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)、ヒューストン(NASAジョンソン宇宙センター)からの声(エド・ハリス
★ねたばれ的な言及あり★
事故によりスペースシャトルから切り離され宇宙空間に取り残された女性エンジニアが、必死の生還を試みる。
91分で、そのことだけを描く。SFXを駆使した3D映像は素晴らしく、それが売りでもあるのだろうが、基本精神はシンプルでストレート、切れ味のよいアクション映画である。
ライアン・ストーン博士は、宇宙での初めてのミッションの最中に事故に見舞われ、ベテラン宇宙飛行士のコワルスキーとともに、宇宙空間に放り出される。
この重力のない宇宙空間の、空漠とした、広さと暗さと静かさに圧倒される。
登場人物はほぼライアンとコワルスキーの2人のみ、しかも大方はライアンの独壇場である。が、彼女を助けようとするコワルスキーの心意気にも彼の突然の再登場(とその後)にも泣ける。
(以後ちょっとネタバレ)
彼には彼女の声が聞こえていたのだ、ミッションの1週間ひっきりなしにしゃべり続けていたという彼がこのとき沈黙を保ったのは、ライアンのためなんじゃないか、などと想像を広げて楽しむ余地のある映画でもある。

コワルスキーのセリフ2つ:
Matt Kowalski: Houston, I have a bad feeling about this mission.
スター・ウォーズの定番のセリフで、「バトルシップ」でも使われた「いやな予感がする。」という物言いが、ここでもされている。
Matt Kowalski :Sit back, enjoy the ride, you gotta plant both your feet on the ground and start living life. Hey, Ryan, it's time to go home.
「座り直して旅を楽しめ。両足を地に据えて人生を再開するんだ。ヘイ、ライアン、家へ帰る時間だ。」
あまりの過酷な状況に全てを諦めて死を受け入れようとするライアンを、コワルスキーがなんとか立ち直らせようとする。これだけ読むと、例えば西部劇や戦争映画などで、窮地に陥ったルーキーをベテランのスカウトや上官が元気づけているような場面と考えても、全然違和感がない。が、この映画の場合、「両足を地に据えて〜」が、文字通り行われるところがまたいい。