映画「15時17分、パリ行き」を見る(感想)

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15時17分、パリ行き  THE 15:17 TO PARIS
2018年 アメリカ 94分
監督:クリント・イーストウッド
出演:スペンサー・ストーン(本人)、アンソニー・サドラー(本人)、アレク・スカラトス(本人)、ヘイディ(アレクの母。ジェナ・フィッシャー)、ジョイス(スペンサーの母。ジュディ・グリア)、校長(トーマス・レノン)、マーク・ムーガリアン(本人)、イザベル・リサチャー・ムーガリアン(本人)、アヨブ(犯人。レイ・コラサーニ)

実話を数多く映画化してきたイーストウッドが、実際に事件に関わった人物本人をキャストに起用して映画化。
2015年、オランダのアムステルダムからフランスのパリに向かう高速列車内において、銃乱射事件が起こった。乗り合わせたアメリカの若者3人が犯人を取り押さえ、大惨事になるのを阻止した。その3人の若者と、犯人に撃たれて九死に一生を得た乗客の男性とその妻などを事件の当事者本人が演じる。
パリへ向かう高速列車。車内のトイレから銃を持った男が出てきて、廊下にいた乗客の男性の首を撃つ。車内はパニック状態となり、観光旅行に来て電車に乗っていたスペンサー、アレク、アンソニーの3人も、座席の陰に身を隠す。が、スペンサーは犯人に突進し、アレクが加勢して犯人を取り押さえる。犯人捕獲後は、アンソニーと乗客の医師も加わって撃たれた乗客の救命活動に努め、乗客は一命をとりとめる。
列車に乗り込む乗客たちの様子から始まり、時間を追って事件の経過が描かれるのかと思いきや、事件は一瞬で収束する。では映画では他に何が描かれているのかというと、三人の若者の少年時代から現在にいたるまでである。学校生活になじめず校長室に呼び出しを食らってばかりいた彼ら3人の出会いと別れ、そしてそのあとは主にスペンサーに的を絞って、彼のこれまでの人生を追う。彼はあこがれのアメリカ空軍に入ったが、第一志望のパラシュート救出隊には合格できず、ポルトガルで衛生兵としての訓練を受けている。アレクは軍人だった父の血を引いて、オレゴン州兵となり、アフガニスタンに派遣されている。アンソニーについてはあまり詳しく描かれないが、大学生か大学出の民間人である。スペンサーとアンソニーはイタリアを旅行して、ドイツでアレクと合流、3人はアムステルダムで狂乱の夜を過ごした後、パリを目指す。
ラストのパレードが実際のニュースかなんかの映像だろうというのは分かるが、フランスのフランソワ・オランド大統領による表彰はどっちなのかわかりにくく、検索すると、どうやらあれは実際の大統領の映像と別撮りの映像をうまくつなげているらしい。
ずっとぱっとしなかった若者が、英雄になる瞬間をとらえた映画なのだろうが、なんだか不思議なものを見た思いがした。
イーストウッドというと、とにかく突き詰める人というイメージがある。演技とは何か、フィクションとは何か、とことん追及してたどり着いた境地なのだろうか。
イタリアの運河を行く観光船に乗って旅先で知り合った女の子と自撮りに興じるアンソニーとスペンサーの楽し気な様子が割と延々と映される。別にさほど退屈ではなく楽し気でいいなと思うのだが、でもこれって若者が観光してるだけだよなあとも思い、なんだか実験映画みたいだとも思った。