映画「ラスト・ムービー・スター」を見る(感想)

ラスト・ムービー・スター
THE LAST MOVIE STAR / DOG YEARS
2017年 アメリカ 公開ブロードウェイ 2019年 104分
監督・脚本:アダム・リフキン
出演:ヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)、リル・マクドゥーガル(アリエル・ウィンター)、ダグ・マクドゥーガル(クラーク・デューク)、シェーン・マカヴォイ(エラー・コルトレーン)、スチュアート・マッカラー(アルジャレル・ノックス)、フェイス・コール(ニッキー・ブロンスキー)、ビヨルン(ジャストン・ストリート)、クラウディア・シュルマン(キャサリン・ノーラン)、ソニー(チェヴィー・チェイス
バート・レイノルズが、かつて映画スターだった老人ヴィク・エドワーズを演じる。
豪邸に一人で住むヴィクが、愛犬の死を悲しんでいたところに一通の招待状が届く。国際ナッシュビル映画祭で賞を授与するというもので、これまでの受賞者には、イーストウッドやデ・ニーロなど有名俳優の名前が並んでいた。最初は渋っていたヴィクだが、親友のソニーの勧めもあり、招待を受けることに。しかし、それは有名な「ナッシュビル映画祭」とは別の、映画ファンの若者たちが知り合いの経営するバーを会場にしてささやかに開いているめちゃくちゃマイナーで貧乏な映画祭だった。これまで受賞者たちに受賞の連絡はしたが、招待に応じた俳優は今まで一人もいないのだった。彼氏と電話で喧嘩ばかりしている若い女リルが運転手するゴミだらけの車に乗せられ、安ホテルに泊まらされ、バーの別室の狭い会場の急造スクリーンで彼が主演した古い映画が上映された。気分を害した彼は酔っぱらって暴言を吐き、つぶれる。
翌日、授賞式をすっぽかし、リルの運転で空港へ向かったヴィクは、途中で「ノックスビル」の行き先案内版を見つけた。ノックスビルは彼の生まれ故郷だった。ヴィクは、リルを運転手に故郷の町で思い出の場所巡りを始めるのだった。
リルは、ホラーな絵ばかり描く画家志望で鬱を患い常に薬を飲んでいて浮気性の彼氏に悩まされている。そんな彼女とかつての大スターのやりとりが可笑しい。ヴィクの生家やホテルなど、ところどころでヴィクが人々からスターを見る目で見られることに驚き、うれしそうになるリルはかわいい。ヴィクは、生涯で5度結婚しながら、自分が有名になる前に結婚した最初の妻だけを愛し、再会を望む。老人ホームで会った彼女はヴィクが誰かわからず、リルは二人を思い出の場所である波止場に連れて行く。このあたりの展開は割とふつうで特に新鮮味は感じなかったが、そのあと映画祭授賞式のシーンになったのはよかった。
老いた今のヴィクの傍らに、若いときのヴィクが、男盛りのバート・レイノルズその人の姿で出てきて会話をするのがよかった。若いバート、実に男くさくてセクシーだ。
ヴィクの大ファンでヴィクを尊敬しながらもお粗末な対応しかできない映画祭のオタクな若者たちにも好感が持てた。

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劇場内の看板(新宿シネマカリテ)