ドキュメント映画「ようこそ映画音響の世界へ」を見る(感想)

ようこそ映画音響の世界へ MAKING WAVES: THE ART OF CINEMATIC SOUND
2019年 アメリカ 94分
監督:ミッジ・コスティン
出演:(音響技師)ウォルター・マーチベン・バート、ゲイリー・ランドストロームほか多数
(監督・製作者)ジョージ・ルーカススティーヴン・スピルバーグフランシス・フォード・コッポラバーブラ・ストライサンドロバート・レッドフォードデビッド・リンチアン・リーソフィア・コッポラ、ビーター・ウィアー、クリストファー・ノーラン
映画における「音」の重要性と音響技術の歴史についてのドキュメンタリー。
サイレント映画から、エジソンが果たせなかった映像と音の組み合せが実現したトーキーへ、ひとつのトラックから16ものトラックでの録音へ、そしてモノからステレオへさらに5.1チャンネルサラウンドへと、音響技術が進化してきた様子や、セリフ、効果音、音楽の3つの「音」のそれぞれの効果と技術などを素人にもわかりやすく紹介している。技術についての説明、技師や監督やスタッフのインタビューのあと、それに即した様々な有名作品の場面を挿入して、次から次へとテンポよく語られるので、とても興味深く、飽きることなく一気に見られた。
往年の西部劇の銃撃カットが立て続けに映ってそれが全部同じ銃声だとか、ラジオドラマの経験からオーソン・ウェルズが「市民ケーン」では反響音を駆使したとか、ヒッチコックは効果音のみを用いて「鳥」の襲撃シーンの怖さを強調したとか、バーブラ・ストライサンドが「スター誕生」でステレオ音響に自費で挑んだとか、「ゴッドファーザー」では前衛音楽家を採用して「軋み」音で感情を表現したとか、「地獄の黙示録」では銃撃音、船のエンジン音、ヘリコプターの音など、音ごとに担当が決まっていたとか、「スター・ウォーズ」のR2D2の「話し声」に苦労したとか、ぱっと思い出すだけでも興味深い内容がいくつもあった。最後はハン・ソロとチューバッカがファルコン号でワープして消える音で終わるのが(個人的には)よかった。

<紹介される映画>
※ほんの一瞬だけのものもあり(「七人の侍」など)。「スター・ウォーズ」と「地獄の黙示録」の出番が多かったように思うが、とにかく次から次へといろいろな映画の場面が出てきて楽しい。
スター・ウォーズ」「THX-1138」「ワンダー・ウーマン」「ブラックパンサー」「2001年宇宙の旅」「イージー・ライダー」「風と共に去りぬ」「勝手にしやがれ」「キング・コング」「ブレイブハート」「第七の封印」「市民ケーン」「トップガン」「七人の侍」「アルゴ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「わたしに会うまでの1600キロ」「リバー・ランズ・スルー・イット」「普通の人々」「プライベート・ライアン」「エレファント・マン」「イレイザーヘッド」「ゴッドファーザー」「ファニー・ガール」「地獄の黙示録」「インセプション」「ダークナイトライジング」「スター誕生(1976)」「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「ロスト・イン・トランスレーション」「ブロークバック・マウンテン」「ROMA/ローマ」「スパルタカス」「ナッシュビル」「マトリックス」「鳥」「東への道」「ジャズシンガー(1927)」「赤い河」「トイ・ストーリー」「ルクソーJr.」ほか

 

映画『ようこそ映画音響の世界へ』オフィシャルサイト

 

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