映画「DUNE/デューン 砂の惑星」を見る(感想)

DUNE/デューン 砂の惑星 DUNE PART ONE
2020年 アメリカ 155分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作:「デューン 砂の惑星フランク・ハーバート
出演:
ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)、ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、レト・アトレイデス侯爵(オスカー・アイザック)、ガイウス・ヘレネ・モヒアム(ベネ・ゲセリットの教母。シャーロット・ランプリング)、ダンカン・アイダホ(ジェイソン・モモア)、ガーニイ・ハレック(ジョシュ・ブローリン)、ユエ医師(チャン・チェン
ハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)、ラッバーン(ハルコンネンの甥。デイヴ・バウティスタ
スティルガー(フレメンのリーダー。ハビエル・バルデム)、チャニ(ゼンデイヤ)、ジャミス(バブス・オルサンモクン)

★注意! 映画の内容(すじがき)について書いています。★

 

原作は読んだことがなく、デヴィッド・リンチ監督による映画も見ていないので、なんの予備知識もなく見た。専門用語がいろいろ出てきて戸惑う。香料、フレメン、砂虫(サンドワーム)などは比較的すぐわかるが、「ベネ・ゲセリット」(特殊能力を持つ女性による秘密結社らしい)、「クウィサッツ・ハデラック」(ベネ・ゲセリットが育て配下に置くことを望む万能の能力者のことらしい)などは検索しないとわからない。

宇宙帝国の皇帝が宇宙に君臨している、西暦1万なん年かの遠い未来の話。
惑星アラキスは、人間が暮らすには過酷な条件の星だった。星全体に砂漠が広がっているため、日中の地上は灼熱の地獄となり、しかも砂の中には砂虫(サンドアーム)と呼ばれる巨大な生物が生息していて人を襲う。しかし、アラキスは、帝国になくてはならない物質「香料」(原語はspice。麻薬のような成分も含まれるらしい)の希少な産地であるため、発掘精製をするための施設を置き、管理者を派遣していた。また、アラキスには、フレメンと呼ばれる先住民族がいて地下に町を作って暮らしていた。レト・アトレイデス侯爵は、前任者ハルコンネン男爵に替わり、アラキスでの任務を命じられる。レトは、ジェシカ(正室ではないらしい)と息子のポール、及び配下の者たちを伴ってアラキスに赴き、フレメンと友好関係を築きながら、香料の発掘作業を進めていこうとする。
が、ハルコンネンの陰謀により、レトは命を落とし、ジェシカとポールは砂漠に逃れてフレメンと合流し、起死回生を誓うのだった。というところで、「つづく」となる。
ジェシカは、「ベネ・ゲセリット」という秘密組織に属し、声で人を操る特殊能力を持つ。幼いころから彼女に「訓練」されてきたポールには、予知夢を見ることで未来を知る能力が芽生えつつある。彼の夢の中に何度も出てくる女性は、フレメンのチャニという女性で、映画の最後の方でやっとポールは彼女に出会う。

主役のシャラメのイケメンぶりが話題をさらっていて確かに悪くはないが、私としては、彼が兄のように慕う兵士ダンカンがよかった。ポールを守る姿は弁慶のようであり、戦いぶりは三国志に登場する豪傑のようであった。本作だけで姿を消してしまうのがとても残念である。
妻を人質に取られ不本意ながら主人のレトに毒を盛る医師ユエもなかなかよかった。彼の画策により瀕死のレトはハルコンネンを巻き込んで自爆するが、ハルコンネンはしぶといのだった。(彼が反重力装置で宙に浮くのは肥満のあまり自分の体重を支えられないためだと検索して説明を読めばわかるのだが、映画だけ見てもよくわからない。)
しかし、この映画の主役はなんといっても砂漠だろう。茶系色のみの単調な画面が続き、灼熱の中、ざらざらとした砂粒が身体にこびりついてくる感じが伝わってきてなんとも息苦しいが、紋様のついた砂漠が画面いっぱいに広がる荒漠たる風景に圧倒される。砂虫が襲ってくる場面も迫力がある。
トンボのようなヘリコプターもどきの羽ばたき機は「風の谷のナウシカ」(1984)に出てくる飛行機械を思わせ、砂虫は、「トレマーズ」(1989)のグラボイスのようであるが、いずれも原作小説(1965)の方が先なのだろう。砂虫は、ナウシカのオームのようでもあるという感想も聞くが、しかし、形状的には「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきて、水木しげるの「妖怪事典」にも載っている野づちを思わせ、これは日本古来の妖怪なのだった。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』オフィシャルサイト 大ヒット上映中!