L change the WorLd

デスノート」で人気をさらった松山ケンイチ演じるLが、世界的規模のウィルス・テロを阻止しようとするスピン・オフもの。
常にパソコンの前に座り、画面を見ながら指示を出していたLが、自ら行動に出てアクションを披露。しかも残された時間は限られている。ということで、Lのファンにとってはみどころ満載の一遍である。
事件は、キラこと夜神月との戦いに決着が着いた直後に発生。Lは、休む間もなく新たなる世界の危機を知ることになる。
地球の環境を守るため、人類削減を図る環境保護テロ・グループが、強力なウィルスを世界各地にばらまこうとしていた。このウィルスは、インフルエンザのウィルスと凶悪さで知られるエボラ菌を掛け合わせてできた最強のウィルス。感染者は、全身から出血して苦しみながら絶命するというおそろしい生物兵器である。
ウィルスの実験場所となったタイ奥地の山村で唯一生き残った少年は、「F」によって、ワタリのもとに届けられる。死亡したワタリにかわって少年を引き取ったLのところには、さらに細菌研究学者二階堂の娘真希が父に託された謎のカプセルを持ってやってくる。Lは、抗ウィルス剤を手に入れるため、少年と真希を連れ、追っ手を交わしながら二階堂の友人である教授のもとに向かう。
テログループの一員となる細菌学者九條を演じる工藤夕貴がいい。彼女は、Lとはかねてよりの知り合いであり、Lの苦手分野も知っている。真希を演じる福田麻由子はきりっとしていてかわいい。テレビドラマ「女王の教室」で見たことがある。また、「池上署」などですっかりいい人のイメージが定着した高嶋政伸が悪役の実業家を演じているのだが、灰色ににごった片目がなかなか似合っている。
が、やはりここはLの独壇場である。ぼさぼさの髪に青白い顔、目の下にはくまをつくり、袖が長い白いTシャツにGパンに裸足、串刺しにした菓子をほおばり、両膝を立ててパソコンの前に座る。なのに天才的な頭脳を持ち、世界的な犯罪をことごとく解決に導く。Lの特異なキャラクターは、あいかわらず不思議な魅力を放つ。
敬語を用い妙なところで言葉を切る独特の喋り方や、ものを下げて持つ幽霊のような手の形でキーボードを打つ仕草などに、おめおめと魅力を感じてしまうのは、どういうことなのだろうか。、
原作漫画では、Lはテニスをしたり、夜神月と殴り合いの喧嘩をしたりなどアスリートの一面を見せるのだが、映画のLは、ほとんどそうした面を持たず、九條に言わせれば「とっても苦手」ということになっている。それだけに、猫背で手をぶらぶらさせて走り、テログループと真希の乗った飛行機を追うLの姿に、あっさり感動してしまうのだった。
おまけ:「デスノート」でバスの運転手を演じていたボバこと田中要二が、なぜかタクシーの運転手となって登場。消息筋によれば、「デスノート」でのバスジャック事件のことをあまりにあちこちに吹聴しすぎたために上司に嫌われて解雇され、タクシーに転職したという裏ストーリーが存在するらしい。

L change the WorLd [通常版] [DVD]

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