「3時10分、決断のとき」”3:10 to Yuma”を見た

1957年の西部劇「決断の3時10分」のリメイク作品である。日本では公開しそうにないということで知人が手に入れた英語版を貸してくれた(追記:その後、2009年8月に日本でも公開された)。できればオリジナルを見てから見たかったのだが、がまんできずこっちを先に見た。(英語字幕つきだったので、聞き取りにくい英語の台詞がわかってよかった部分もある。)
現金輸送馬車を襲撃した無法者一味のリーダー、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)がビスビーの町で逮捕される。
彼はユマ刑務所に送られることになったが、そのためには、彼を駅のある町コンテンションまで護送し、3時10分発ユマ行きの汽車に乗せなければならない。ウェイドを助け出そうとする一味の襲撃が予想されるため、護送のための人員が集められた。苦しい生活にあえいでいた牧場主ダン・エヴァンス(クリスチャン・ベイル)は、200ドルの報酬と引き換えに護衛に加わる。
一行は、エヴァンス、バウンティ・ハンターのマッケロイ(ピーター・フォンダ)、鉄道会社のバターフィールド(ダラス・ロバーツ)、医者のポッター(アラン・トゥディク)、町の資産家の手下タッカー(ケヴィン・デュランド)、そしてウェイドの面々。エヴァンスの長男ウィリアム(ローガン・レマン)は、家を抜け出して彼らの後を追う。
チャーリー・プリンス(ベン・フォスター)を筆頭とするウェイドの一味は、ボスの奪還をねらっていた。おとりの馬車に騙された彼らは、一行が馬でコンテンションに向かっていることを知り、追跡を続ける。
連行の旅を通して、ウェイドとエヴァンスのあいだに徐々に築かれていく関係が興味深い。余裕綽々のウェイドの方が、ぎりぎりでがんばってるエヴァンスよりもより強い好感を抱いているように見える。
そのせいで、チャーリーの立場が微妙になってくる。彼は、かなりあぶない男で、自分の歯止めのなさをなんとかできるのはウェイドだけだということを理屈でなく直観的に察しているがゆえに、必死でボスを奪い返そうとしているように見える。そして、その過程ですでに歯止めが効かなくなっている。
クライマックスの直前、コンテンションのホテルで3時10分の汽車を待つエヴァンスとウェイド。他のメンバーは倒されるか退くかしてエヴァンス一人だけが護衛として残る。ウェイドはエヴァンスに400ドルと引き換えに自分を解放するようもちかける。緊迫する瞬間である。
そして激しい銃撃戦。チャーリーは、自分が雇った即席の味方をも構わず撃ち殺し、ウェイド救出に向かう。エヴァンスと駅に向かうウェイドは、どう出るか。オリジナルとは違うらしいが、ラストは見応えがある。14歳の少年ウィリアムが、戦闘に手を貸し、一部始終を目撃するのがまたいい。
冒頭からウェイドが絵を描く場面が何回となく見られる。彼は、ホテルで銃を持って自分を見張るエヴァンスの姿もスケッチするのだが、この絵や、次に示す縛り首の歌など、細部も気が利いている。
唄: They're gonna hung me in the mornin’...before the night is done.They're gonna hung me in the mornin’... I'll never see the sun.
(明日になったら俺は吊される、夜が明ける前に。明日になったら俺は吊される、もう太陽はみられない。)
 タッカーが、ウェイドの耳元で嫌みにたっぷりに歌っていた歌。タッカーの死後、ウェイドが自らくちずさんでいるのが、なかなかよい。

3時10分、決断のとき [DVD]

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