映画「アンストッパブル」を見る

アンストッパブル Unstoppable
2010年 アメリカ 99分
監督:トニー・スコット
出演:フランク・バーンズ(デンゼル・ワシントン)、ウィル・コルソン(クリス・パイン)、コニー・フーバー操作場長(ロザリオ・ドーソン)、ネッド(リュー・テンプル)、ガルヴィン運行部長(ケヴィン・ダン)、デューイ(イーサン・サプリー)、ギリース(T・J・ミラー)、バニー(ケヴィン・チャップマン)、ウェーマー監察官(ケヴィン・コリガン)、ダーシー(ジェシー・シュラム)、ニコル(エリザベス・マシス)、マヤ(ミーガン・タンディ)
暴走する無人貨物列車を止めようとするベテラン機関士と新米車掌の奮闘を描く。久しぶりに、100分以内のカジュアルで明快で痛快なアメリカのアクション映画を見た。
ペンシルバニア州の鉄道操作場。運転士の操作ミスから最新式の貨物列車777が暴走を始める。39両の貨車は全長800メートルに及びしかも流出すれば爆発するかも知れない危険物質を積み、その行く手にある町スタントンの入口には徐行をしなければ脱線する恐れのある急カーブがあり、急カーブの高架下には燃料タンクが並んでいる。つまり転覆すれば町全体に渡る大惨事となるのだ。
現場責任者コニーの提案を無視した運行部長による無謀な試みは悲惨な結果に終わり、脱線機を用いて故意に脱線させる作戦も暴走列車の勢いの前に敢えなく失敗する。
一方、同じ路線で貨物車を率いる旧式の機関車1206号には、勤続28年のベテラン機関士フランクと、車掌になってまだ4ヶ月のウィルが初めてチームを組んで乗り込んでいた。が、フランクは人件費削減のためベテランを辞めさせて新人を雇う会社のやり方を面白く思っていないし、ウィルは、不本意ながら親戚のコネで採用されたうえ家庭内のトラブルでいらだっていて、二人の間はぎくしゃくしていた。
彼らはコニーの指令で緊急退避線に避難するが、フランクは、暴走列車が通過すると、率いていた貨車を引き離し機関車のみを後進させて暴走列車に接近していく。後ろから貨物車に連結し、機関車のブレーキで暴走を食い止めようというのだ。ウィルは、初めはこの作戦に反対するが、妻子の住む町が災禍に見舞われるのを防ぐため、危険な試みに加わる決意をするのだった。
FBIも特殊部隊も出てこない。二人の普段着の民間人が、命がけで暴走列車を止めようとする。貨物車と機関車を手動で連結しようとして連結部から落ちそうになったり、暴走する列車の屋根の上を走ったり、車から列車に飛び移ったりするのを見て、手に汗を握った。いつもは幾分目障りに思えるスコット監督独特のザッシュ!というカット割りも今回は控え目。デンゼル・ワシントンも、「サブウェイ123 激突」の時ほど重厚な感じがなく、軽快でいい。暴走する列車の迫力と、はらはらどきどきのアクションをストレートに楽しんだ。
司令室で状況を把握し即座に判断を下してきぱきと指示を出すコニーの仕事ぶりが小気味よく、鉄道局から派遣されてきた監察官ウェーマーが思いの他有能でフランクに適切なアドバイスを与えるなど、脇役も好感が持てる。