香港映画「イップ・マン」を見る

イップ・マン 葉問2 IP MAN 2
2010年 香港 109分
監督:ウィルソン・イップ
アクション監督:サモ・ハン・キンポー
音楽:川井憲次
出演:イップ・マン(ドニー・イェン)、ホン(サモ・ハン・キンポー)、ウォン(ホァン・シャオミン)、イップ・マンの妻(Xing Dai-lin)、ツイスター(ダーレン・シャラヴィ)、ファッツォ/警察官(ケント・チェン)、Chow Ching-chuen(サイモン・ヤム)、Chow Kong-yiu(カルヴィン・チェン)、Kam Shan-chau(Fan Sui-wong)、リャン/新聞社編集長(Pierre Ng)、ワイケイ/ホンの弟子(To Yue-hong)、ウォーレス/イギリス人の警察署長(チャールズ・メイヤー)、李小龍/少年時代のブルース・リー  ※日本語表記未確認の名は英語表記のまま
ブルース・リーの師匠、中国武術詠春拳の達人であるイップ・マンの生涯を描く。
1950年、イップ・マンは、広東省佛山から妻子とともにイギリス統治下の香港に移住してくる。知人の新聞社編集長リャンの行為で部屋を借りて武館(道場)を開く。ウォンを始め若者たちが弟子入りしてくるが、みんな貧乏でレッスン代を満足に払えず、イップ・マン家の家計は苦しかった。
イップ・マンは弟子同士の諍いを通して、香港の武館をしきる洪拳の師範ホンと会う。二人は考え方の違いから対立するが、次第に互いの技量を認め合っていく。やがて、イギリス人の警察署長ウォーレスが主催するボクシングの試合でチャンピオンのツイスターが中国武術を侮辱したことから、ボクシング対カンフーの異種格闘技戦が行われることに。イップ・マンは、中国武術の名誉を守るために、対戦者として名乗りをあげるのだった。
ひさしぶりに香港の本格カンフー映画を見た。無駄がなく、ストイックで、ストレートでカンフー・アクションを心ゆくまで楽しめた。
大きな見せ場は4つ。まずは、市場での大乱闘。ホンの弟子たちに取り囲まれたイップ・マンとウォンが、多勢に無勢の戦いを展開。イップ・マンが大きな簀の子を持ち上げ防御しつつ、振り回して武器にしたり、相手の持つ包丁を取り上げ、両手に持って峰打ちで攻撃しまくるのは痛快。
次は、香港で武館を開くためには、他流派の師範たちと戦って、線香が消えるまで持ちこたえなくてならないという掟があり、それに従ってイップ・マンが他の師範たちと勝負をするシーン。飯店の大きな円卓の上で、1対1の対決が行われる。中でもホンとの対決が圧巻。巨体のホンが飛び乗ると、テーブルが大きく傾ぐ。ぐらぐらとした狭い足場での、達人対達人の対決は見応えが有り余る。
そして、四角い本物のリングでのボクシング対中国武術の勝負。最初の勝負は、ホンとツイスター。ホンの誇りをかけた必死の戦いぶりが泣かせる。最後は、イップ・マンとツイスターの戦い。パワーとスタミナで押してくるツイスターと、技で交わし同時に攻撃を食わせるイップ・マンと、二人の戦い方は対照的である。
物静かで穏やかなイップ・マンをドニー・イェンが好演。サモ・ハン・キンポーは、終始険しい表情で笑顔がないのが少々さびしかったが、巨体を動かしての熱演に感動する。映画の冒頭、「動作導演 洪金寶」というクレジットを見たときもうれしかった。
原題に「葉問2」とあるように、本作はイップ・マンものの第2作目。本編終了後に1作目「葉問序章」(2008年)の予告編の上映があった。日本軍が攻めてきたときの話らしく、池内博之が空手の達人の日本人将校役で出演、イップ・マンと対決するようである。
本作の劇場動員数が5000人を超えると、未公開の第1作も上映の運びとなるとのお知らせが出た。カンフー映画ファンのみなさま、ぜひ劇場へ行きましょう。(私が見たのは、新宿武蔵野館です。)

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★イップ・マンシリーズ1~4作についての感想
https://michi-rh.hatenablog.com/entry/2020/07/11/170253