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のぼうの城
2011年 日本 公開東宝(2012年) 145分
監督:犬童一心樋口真嗣
脚本:和田竜
主題歌:エレファントカシマシ「ズレてる方がいい」
出演:成田長親(野村萬斎)、甲斐姫榮倉奈々)、正木丹波守利英(佐藤浩市)、酒巻靭負(成宮寛貴)、柴崎和泉守(山口智充)、成田氏長(西村雅彦)、成田泰季(平泉成)、珠(鈴木保奈美)、たへえ(前田吟)、かぞう(中野明慶)、ちよ(尾野真千子)、ちどり(芦田愛菜)、和尚(夏八木勲)、石田三成上地雄輔)、大谷吉継山田孝之)、長塚正家(平岳大)、豊臣秀吉市村正親


戦国時代。豊臣秀吉小田原城攻めに伴い、関東に在する北条氏の支城も豊臣軍を迎え討つこととなった。周囲を湖に囲まれた忍城(おしじょう)では、城主成田氏長が小田原に援軍に向かい、城代の成田泰季が城を預かることとなった。が、泰季は病に倒れてしまい、息子の長親が城代となる。長親は、ぼうっとした性格から「でくのぼう」の「のぼう」をとって「のぼう様」と呼ばれていた。
実は、城主氏長は、豊臣勢への内通を決心しており、忍城は豊臣軍が攻めてきたら直ちに降伏開城するよう指示を受けていた。2万の豊臣軍に500の兵しか持たない忍城が対抗できるはずもなく、武将の丹波始め、城の面々は遺憾ながらも降伏を了解する。が、石田三成率いる豊臣軍が現れ、使者としてやってきた長塚正家(平)の横柄な態度にカチンときた長親は、降伏がいやだとごね始める。もともと降伏をよしと思っていなかった丹波ら武将たちはこれに乗り、正家に対し、開城ではなく、開戦の意を告げる。
ここまでの流れが、状況説明や人物紹介を交えて、スムーズに心地よく語られ、長親のわがままのようにもとらえられる決断が実に痛快である。
このあと、決戦シーンや、水攻めによる悲惨な場面も見られるが、一貫して、勢いがあり、見ていてわくわくする。
佐藤の丹波始め武将たちの活きがいい。成宮演じる若武者の靭負は経験不足だが頭がよく策を練り、山口の和泉は体型のせいもあって三国志張飛を思わせるような豪傑ぶりを見せる。武将たちが有能なせいで、長親は何もせず戦況の報告を待っているばかりであるが、主はこういうものかもと妙に納得したりもする。
敵陣前に浮かべた船上での田楽披露は、野村萬斎の本領発揮、「のぼう様」の命がけの踊りにじんと来る。
甲斐姫との恋愛が実にあっさりしているのも好感が持てた。
敵方の、上地演じる若い三成は、できるんだかできないんだかよくわからない感じがよく、彼をサポートするよう秀吉がつけた二人の対照的な武将、吉継(山田)と正家もよかった。

のぼうの城 スペシャル・プライス [DVD]

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以下原作本(というか脚本が先らしいのでノベライズということになるのか)と同題材を扱った風野真知雄の本。

のぼうの城 上 (小学館文庫)

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のぼうの城 (下) (小学館文庫)

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水の城―いまだ落城せず 新装版 (祥伝社文庫)

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