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007/慰めの報酬 QUANTUM OF SOLACE
2008年 イギリス・アメリカ 106分
監督:マーク・フォースター
出演:ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)、カミーユオルガ・キュリレンコ)、マティスジャンカルロ・ジャンニーニ)、フィールズ(ジェマ・アタードン)、ドミニク・グリーン(マチュー・マルリック)、メドラーノ将軍(ホアキン・コシオ)、M(ジュディ・デンチ)、フィリックス・レイター(ジェフリー・ライト

前作に引き続きダニエル・クレイグがボンドを演じる007シリーズ第22作。
今回の敵は、環境保護団体を隠れ蓑にした世界的な悪の組織。幹部のグリーンは、南米の小国ボリビアのメドラーノ将軍と取引を交わして、ある資源の利権を手に入れようともくろんでいる。世界中の有力者や国家諜報機関をも取り込みつつある組織を前に、捜査を進めるボンドは次第に孤立していく。
本作が始まるのは、前作のラストから1時間後である。ボンドにとっては、愛する女性ヴェスパーの死からわずかな時間しか経っていないことになるが、見ている側にとってはそれはもうすでに2年も前の話。記憶もあいまいになっていて、ボンドが抱く強い悲しみになかなか同調できない。話の展開にもついて行けず、記憶力だけでなく理解力も衰えたかとあせったのだが、どうやら他の人に聞いても説明不足だいうことなので、ちょっと安心した。
建物の高所から高所へ飛び移っての追跡、高級車による壮絶なカーチェイス、ボートで美女カミーユを強奪する水上アクション、そして小型飛行機による空の戦いと、手を変え品を変えてのめまぐるしいアクションが連発される。ボンドが飛行機を駆使する様子が見られてうれしい。が、飛行機は砂漠に不時着、ぼろぼろになった正装で砂漠を歩くボンドと美女という、ポスターで有名なシーンへとつながる。
将軍を仇と狙うカミーユに、ボンドは人の撃ち方の手ほどきをする。自らもヴェスパーを殺した相手への憎しみを抱いているはずなのに終始クールにふるまうボンドと、率直なカミーユ。ボンドは「深く息を吸って、一発で決めろ」とアドバイスし、カミーユはいざというときにその言葉を思い出す。二人の間に芽生えるごく淡い師弟関係のようなものに心引かれた。しゃれた台詞も時々あるが、やはりちょっと無骨でハードボイルドなボンドである。
前作も出てきた(らしい)ボンドの元仕事仲間マティスを演じる俳優ジャンニーニの濃いイタリア人顔は相変わらずいいが、昔見た「流されて」といい、何年か前の「ハンニバル」といい、私が見るときは大概気の毒な役回りだ。
それと、デンチがMになってから何回となく同じような場面を目にしたような感じもするが、彼女がボンドを庇って啖呵を切るのはいい。