映画「20世紀少年 第2章 最後の希望」を見る

2008年 日本 公開東宝 139分
監督:堤幸彦、原作:浦沢直樹
出演:遠藤カンナ(平愛梨)、小泉響子(木南晴夏)、オッチョ(豊川悦司)、ユキジ(常磐貴子)、ヨシツネ(香川照之)、サダキヨ(ユースケ・サンタマリア)、ケンヂ(唐沢寿明)、モンちゃん(宇梶剛士)、マルオ(石塚英彦)、フクベエ(佐々木蔵之介)、ともだち(?)、高須(小池栄子)、蝶野(藤木直人)、マライア(前田健)、ブリトニー(荒木宏文)、仁谷神父(六平直政)、角田(森山未来)、神様(中村嘉葎雄)、キリコ(黒木瞳)、
「血の大晦日」から15年後。ケンヂの姪、遠藤カンナは、高校生になっていた。
高校の歴史の教科書には、「血の大晦日」は、テロリストであるケンヂの一味が巨大ロボを使って人類を滅亡させようとしたのだが、「ともだち」がそれを阻止したという出来事として載っていた。
ケンヂを敬愛するカンナは、問題児として扱われ、矯正のため、同級生の小泉響子と「ともだちランド」へ送られる。ディズニーランドのようなともだちランドでは、ともだちに忠誠を誓う従順な信徒がつくられていた。
カンナはそこで清掃員として潜入していたヨシツネに再会する。一方、刑務所に収監されていたオッチョは、漫画家の角田ととも脱獄を敢行する。他にも、モンちゃんやマルオなど、ちりぢりになっていた秘密基地の仲間たちが、身を隠しつつ独自に動いていたことがわかってくる。
やがて、「よげんのしょ」に続く「しん・よげんのしょ」の存在が明らかになる。そこには、救世主の暗殺と新たな万博開催が記されていた。
まさに、ともだちらは、1970年の万博を再現したような万博の開催を計画していた。その開会式を翌日に控えた日、ともだちは、派手なパレードと大勢の見物客を伴って、無法地帯である歌舞伎町の教会を訪れる。その教会では、カンナが知り合いの神父に相談をしていた。かくして、場末の小さな教会で、ともだち、カンナ、秘密基地のメンバーたち、そして暗殺者が、顔を揃えることとなる。
話は、カンナを中心にぐいぐい進んでいく。中華料理屋でバイトをしながら一人暮らしをしている彼女は、タイのマフィアと中国マフィアの戦いの仲裁をやってのけるような、強くて元気な女子高校生である。彼女と、同級生の小泉が、いい。小泉は、原作漫画のキャラクターにそっくりらしいが、脳天気な彼女の存在は重たい状況を軽く楽しいものにしてくれている。木南晴夏は、現在放映されている土9(日本テレビ土曜9時からのドラマ)「銭ゲバ」で、顔に痣がある陰気な大金持ちの家の次女を演じているのだが、二つの役柄が実に対照的で興味深い。
藤木直人の地味な新米刑事、ユースケ・サンタマリアの大人になっても根暗のサダキヨ、小池栄子の底抜けにハイテンションな教団ナビゲーターなど、新しい顔ぶれもよい。画面の端々で知った顔がちょこちょこと見られるのは、前作と同様、ゴージャスだなあと思いつつ、いささか食傷気味でなくもない。
教会での銃撃、続く万博開会式というクライマックスで、幾分もたついているなと感じたのは私だけだろうか。特に開会式での群衆の高揚は、あの場にいたらああもなろうかという風にはどうも思えない。ともだちの作戦がもっと周到に語られていれば、あるいはもっと盛り上がったかも知れないと思うと、ちょっと残念だ。
若い二人の女の子が中心にくることで、映画は明るさと元気のよさを取り戻したように思う。舞台は近未来となり、昭和への郷愁は、懐かしむ行為自体だいぶ生彩をなくしているように感じられる。それはいい。しかし、いい年こいた同年代のおじさんたちが冒険をするのを見てこっちもいっしょにわくわくしたい、という個人的な期待はまだ持っているわけで、最終章に託したい。

20世紀少年 第1章 http://d.hatena.ne.jp/michi-rh/20080911/1221133721

20世紀少年(第2章) 最後の希望 通常版 [DVD]

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