映画「アリス・イン・ワンダーランド」を見る

アリス・イン・ワンダーランド Alice in Wonderland
アメリカ 2010年 109分 3D
監督:ティム・バートン
原作:ルイス・キャロル不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス
出演:アリス・キングスレー(ミア・ワシコウスカ)、マッドハッター(ジョニー・デップ)、赤の女王イラスベス(ヘレナ・ボナム=カーター)、白の女王ミラーナ(アン・ハサウェイ)、ハートのジャック(クリスピン・グローヴァー)、トウィードルダム/トウィードルディー(マット・ルーカス)、芋虫のアブサロム(声/アラン・リックマン)、白うさぎ(声/マイケル・シーン)、チェシャ猫(声/スティーヴン・フライ)、ベイヤード(声/ティモシー・スポール)、三月うさぎ(声/ポール・ホワイトハウス)、ヤマネ(声/バーバラ・ウィンザー)、ジャバウォッキー(声/クリストファー・リー)、バンダースナッチ

19歳のアリスが、13年前に訪れたワンダーランドを再訪、国を支配する暴君赤の女王に立ち向かい、怪物ジャバウォッキーを倒す。
3Dの画面は、カラフルできれい。ふわふわ浮かんでくるくる回るチェシャ猫、青い芋虫のアブサロム、時計を持った白ウサギ、巨大な四つ足獣バンダースナッチ、でぶの双子ダムとディー、不本意ながら女王に仕える犬のベイヤード、そしてオレンジ色の髪に金色の眼、エキセントリックないでたちでひょうひょうと登場する帽子屋マッドハッターら、ワンダーランドの住人たちは、みなユニークで魅力的だ。
ディズニーランドのアトラクションを映画館で見たと思えばいいのだろうが。
それにしても話の内容はすかすか。アリスが縮んだり伸びたり、アブサロムと禅問答のような会話をしたり、赤の女王が理不尽なことばっかり指示したりといった原作の持つ独特の持ち味は一応描かれるし、優秀な者はみんな頭がおかしいというアリスの父の教えや白の女王の過剰なお姫様ぶりに多少の変さが垣間見られるものの、映画としての手ごたえはかなり薄い。
スペシャルな剣を見つけて竜を倒し、冒険の後には自立した娘になっているヒロイン、といったものを初めて見る子どもたちがおもしろがるのはそれはそれでいい。だが、大人にとってももっと見応えがあってほしかった。もはや新鮮みのない冒険ファンタジーを、なんで今更アリスがやらなきゃならないんだろう。「期待しすぎた」という映画ファンの声を何度となく耳にした。見ながらわくわくして、「ここでこう来るか」という手応えがあってこそ、きれいな3Dの画面が生きてくるというものじゃないか。作り手は、志を高く持ってほしいと思う。