映画「クレイジー・ハート」を見る

クレイジー・ハート Crazy Heart
2009年 アメリカ 111分
監督:スコット・クーパー
音楽: T=ボーン・バーネット、 スティーヴン・ブルトン
出演:バッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)、ジーン・クラドック(マギー・ギレンホール)、バディ・クラドック(ジャック・ネーション)、ウェイン(ロバート・デュバル)、トニー(ライアン・ビンガム)、トミー・スウィート(コリン・ファレル)、ジャック(ポール・ハーマン)、
かつてのカントリー・スター、バッド・ブレイクは、いまや人気も下り坂になり、新曲も出さず、飲んだくれる毎日を送っていた。町から町へと愛車で(ベスと名づけられているでっかい車で、「シボレー・サバーバン・シルバラードのワゴン車」なのだそうだ)移動しては、小さな店で地元のバンド演奏をバックに歌って生計を立てていた。が、ある日、そうした巡業先の町でずっと年下でジャーナリストの女性ジーンと知り合い、恋に落ちる。離婚歴のある彼女は4歳の息子バディと二人で暮らしている。バッドは、バディとも仲良くなり、町を去る際、いっしょに来ないかとジーンを誘うが、彼女は彼との恋にいまいち踏み切れない。互いに好意を抱いている大人の男女が、ためらいながらも少しずつ間を詰めていく様子が微笑ましい。
落ちぶれた初老の男が、恋を機に立ち直ろうとする。話としては、あまり目新しくないが、カントリーミュージックと、移動する先々の西部のだだっ広い風景と、そしてジェフ・ブリッジス演じる57歳の飲んだくれ男の、落ち目になっても歌は捨てず、陰気過ぎず、適度にユーモアのある人柄が心地よい。
彼の弟子で今はトップスターになっているトミーをコリン・ファレルが演じているが、以前と立場が逆転した二人が久しぶりに再会する場面がいい。トミーがバッドを尊敬しているのか嫌っているのかすぐにはわかりにくい微妙な感じがあって、ふたりが駐車場でぎくしゃくと話を交わすところがいいし、前座で歌うバッドのステージにトミーが顔を出してデュエットする場面にもちょっとしたサスペンスが感じられたように思う。
バッドの友人ウェインを演じるロバート・デュバルが、釣りをしながらボートで歌を口ずさむのも聞ける。
ちなみにタイトルは、バッドが久々に作った歌(よい曲です)の歌詞に出てくる。字幕では「壊れた心」と訳されていた。