映画「アウトレイジ」を見る

アウトレイジ Outrage
2010年 日本 オフィス北野 ワーナー 109分 
監督・脚本・編集 北野武
出演:関口・山王会会長(北村総一郎)、加藤・山王会本家若頭(三浦友和)、
池元・山王会池元組組長(國村隼)、小沢・同若頭(杉本哲太
大友・山王会大友組組長(ビートたけし)、水野・同若頭(椎名桔平)、石原・同組員(加瀬亮)、阿倍・同組員(森永健司)、岡崎・同組員(坂田聡)、江本・同組員(柄本時生)、

村瀬・村瀬組組長(石橋蓮司)、木村・同若頭(中野英雄)、飯塚・同組員(塚本高史)、
片岡刑事(小日向文世)、アフリカ某国大使(?)
暴力団山王会系池元組組長の池元は、兄弟分の村瀬と組んでシャブの売買に手を出して儲けていたが、本家からそのことを諌められる。池元は、村瀬組に直接手を下すことをためらい、配下の大友に対処を命じる。
大友は、村瀬組系の暴力バーに、だまされたふりをして組員を送り込む。呼び込みをした下っ端の飯塚と若頭の木村が詫びを入れに来るが、大友組の仕打ちに恨みを抱いた彼らは、すぐさま報復に出る。これに対し、さらに大友組が逆襲する。
途中手打ちなども入るが、事態は悪化の一途をたどる。本家は、池元組の若頭小沢や大友それぞれに池元の後はお前がシマを継げと焚きつけ、池元はなんとか窮地を脱しようと大友を使って村瀬をつぶしにかかる。
大友の後輩で現職の刑事である片岡は、大友と関係を持ちつつ、本家の加藤とも懇意にしている。腹に一物も二物もある男たちが、交わす言葉とはうらはらに、殺し合いを繰り広げていく。
大友組は、村瀬組がシャブの売買に利用していたアフリカ某国大使館に目をつけ、大使を抱き込んでカジノを始める。大使役の黒人俳優(名前が不明)がのんきにひどい目に遭わされる様子が、笑うに笑えないギャグを交えて、けっこう長く描かれる。石橋蓮司も、この人ならではの役回りでやはりひどい目に遭わされるのだが、口の怪我用の仰々しい矯正器具がやけに似合うのでここはブラックに笑ってしまった。
ハードで陰惨。しかし、勢いに乗って一気に破滅へ向かうという風でもなく、妙に淀むというか、男たちがわめき、痛そうな暴力場面が多発する割には、静かな印象の映画である。暴力を前面に出した同監督の作品群に共通する独特の雰囲気は健在だと思ったし、それが何よりの魅力でもある。
出演者に常連はほとんど見られず、ゴージャスな顔触れが並ぶ。喜々としておっかない男を演じている椎名桔平を見るのは楽しいが、みんないきいきと演っているように見える。言っちゃえば、やっぱ、草食系などとぬかしておらず、男子には時々こうゆう映画でこうゆう役をやってほしいと思うのだった。

アウトレイジ [DVD]

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