映画「名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)」を見る

★コナンは、子どもたちが小さいときからほぼ毎年見ていたのですが、ここ2,3年はいまいちだったので、今年はどうしようかなと迷っていたところ、割と評判よいので、結局見に行きました。
飛行船が舞台という、高いところと飛行もの好きには格好の設定でもあり、かなり楽しめました。

名探偵コナン 天空の難破船(ロスト・シップ)
2010年 日本(東宝) 102分
監督:山本泰一郎
原作:青山剛昌、 脚本:古内一成 
音楽:大野克夫、 主題歌:「Over DriveGARNET CROW
声の出演:江戸川コナン高山みなみ)/工藤新一(山口勝平)、怪盗キッド/黒羽快斗(山口勝平)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎小山力也)、灰原哀林原めぐみ)、阿笠博士緒方賢一)、吉田歩美(岩居由希子)、小島元太(高木渉)、円谷光彦(大谷育江)、鈴木園子(松井菜桜子)、鈴木次郎吉永井一郎)、服部平次堀川りょう)、遠山和葉宮村優子)、目暮警部(茶風林)、白鳥警部(井上和彦)、佐藤刑事(湯屋敦子)、高木刑事(高木渉)、中森銀三警部(石塚運昇)、鹿角剛士奈良県警警部(広瀬正志)、川口聡(大橋のぞみ)、浅野光洋(客室乗務員。大川透)、ウェイトレス/ポニーテールの方(伊藤静)、ウェイトレス/ショートカットの方(優木まおみ)、藤岡隆道(野田圭一)、水川正輝(真地勇志)、西谷かすみ(石毛佐和)、石本順平(池田知聡)、赤いシャム猫リーダー(大友龍三郎
(★後半、断り書きをしてからねたばれしてます!)
東京から大阪へ向かう飛行船内で、ウィルス・テロを企む武装集団とそれを阻止しようとするコナンたちの戦いが繰り広げられる。怪盗キッドが出てくるせいか、「ルパン三世」を思わせる細部がところどころに見受けられる。
鈴木財閥相談役の次郎吉は、かつて怪盗キッドにお宝を盗まれた復讐のため、飛行船ベル・ツリー号に載せた宝石「天空の貴婦人」を盗みに来るよう、新聞広告でキッドを挑発する。
飛行船には、所有者の次郎吉と親戚の園子を含めたお馴染みコナンたち一行、中森警部率いる警視庁捜査二課の警官グループ、ルポライター藤岡、テレビ番組スタッフの水川・西谷・石本、そして飛行船のクルーらが乗り込んでいた。
毛利小五郎や中森警部らがキッドの警戒に当たっていたが、ヘリでやってきた謎の武装集団が船内に侵入、彼らは1週間前に微生物研究所を襲撃し、感染すると死に至る凶悪なウィルスを盗んだテロ集団「赤いシャム猫」を名乗り、飛行船をハイジャックする。犯人たちは、爆弾とウィルスの入ったアンプルで乗員を脅し、ネットでハイジャック宣言をするのだった。
話はぐいぐい進んで飽きない。小学生のコナンがカッコよく見えるのはいつものことだが、今回は、さらに怪盗キッドの絡み具合が絶妙である。
(以下ねたばれです。真犯人など重要なねたばれはしていません。)


赤いシャム猫のリーダーによって船外に放り出されたコナンを追って、キッドが間髪入れずに飛行船から飛び出すシーンは圧巻。「007/ムーンレイカー」のアバンタイトル以来、こうしたスカイ・ダイブ・アクションをちょくちょく見るが、中でもこれはアニメならではの軽妙さを活用していて見事だ。二人が着陸するのが、佐久島という田舎なのがまたいい。コナンが大阪の平次に携帯電話で協力を要請している背後で、キッドがヤギに草などをやっているのがのどかでおかしい。
怪盗が予告状を送りつけるのでなく、金持ちの方から怪盗に挑戦状をたたきつけるという導入は斬新で、絆創膏やコナンの七つ道具などの使い方も気が利いている。話はほとんど飛行船の中で進むにも関わらず、乗り物自体がユニークで魅力があるせいか(私にとっては)、あまり閉塞感を感じないですんだ。黒づくめの組織が中途半端に絡んだ前作より、よほど潔い。
今回は推理物としての謎解きには大して重きがおかれず、劇場版コナンシリーズの見せ場である(と私が思っている)タイムリミット・サスペンスもない。キッドはあまり盗む気がなく、コナンはあまりキッドを捕まえる気がないように見える。最近はなんでもかんでもウィルス・テロで、「コナン、お前もか」と思ったが、そこはちょっとひねりがきいていて、でも同じような悪だくみはテレビドラマ「左目探偵EYE」のスペシャル版で既にやっていたのだった。が、しかし、そうしたことどもをものともしない、見応えのあるアクション・アニメの逸品になっていると思う。
※ところで、おそらく、大人気なので終わらせたくなくて黒づくめの組織との決着が延ばし延ばしになっていると思うのだが、いくらなんでももう型をつけるべきではないか。どうしてもやめたくないなら(やめてほしくないが)、決着をつけてからでもコナンとして続けていく方法をなんとかひねり出すとかできないものかと思うのだが、そういうわけにもいかないのでしょうか。