「名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)」を見る

2011年 日本(東宝) 109分
総監督:山本泰一郎、監督:静野孔文
原作:青山剛昌、脚本:古内一成 
音楽:大野克夫、主題歌:『Don't Wanna Lie』B'z
声の出演:江戸川コナン高山みなみ)/工藤新一(山口勝平)、毛利蘭(山崎和佳奈)、毛利小五郎小山力也)、灰原哀林原めぐみ)、阿笠博士緒方賢一)、吉田歩美(岩居由希子)、小島元太(高木渉)、円谷光彦(大谷育江)、鈴木園子(松井菜桜子)、目暮警部(茶風林)、白鳥警部(井上和彦)、佐藤刑事(湯屋敦子)、高木刑事(高木渉)、武藤岳彦(江川央生)、山尾渓介(難波圭一)、氷川尚吾(関俊彦)、立原冬美(飯塚雅弓)、遠野みずき(朴璐美)、立原冬馬(宮田幸季)、朝倉優一郎東京都知事(麻生敬太郎)、渡部刑事(渡部陽一)、記者(宮根誠司)[※一部声優名はウィキペディアを参考としました]
★ねたばれあり!!(犯人の名指しはしていません)★
タイトルの「15分」は、雪崩に飲まれた人を救助する際のリミットを示すが、シリーズ劇場版第15作ということで、他にも「15」という数字が何回となく出てくる。
都営地下鉄開通式の際に東京都知事の命を狙って地下鉄に爆弾が仕掛けられるという事件が発生。たまたま地下鉄線路と並行する高速道路を走る車に乗っていたコナンは、トンネル内の不審な人影を見かけたことから爆弾が仕掛けられたことを知り、爆発を阻止しようと車中からスケボーで飛び出す。冒頭いきなり、首都高を逆走しての超高速スケボー・アクションにわくわく感が高まる。
コナンは、都知事国交省時代に新潟県北ノ沢村でダム建設のために村を湖の底に沈めたことを知り、ダム建設に反対した者が爆破犯ではないかと推則する。
コナンたちは、移設5周年記念イベントでにぎわう北ノ沢村を訪れ、同村出身の5人の男女、武藤岳彦、山尾渓介、氷川尚吾、立原冬美、遠野みずきと知り合う。彼らは、村の小学校の5人しかいない同級生たちで、8年ぶりの再会を楽しんでいるかのように見えたが、実はそうでもなく、彼らの間には様々な感情が渦巻いているのだった。
山尾は8年前のある夜に、轢き逃げ事件を起こして服役し出所してきたばかりだった。それと同じ夜、立原の息子冬馬(当時7歳)は山で崖から転落し、意識が戻らないまま眠り続けていた。冬馬は、家の外で雪合戦をする歩美ら子供たちの歓声を聞いて8年間の眠りから目覚めるが、事故の夜の記憶を失っていた。
冬山をトレッキング中のコナンらは、雪の積もった斜面で氷川の死体を発見する。心臓発作による死に見えたが、周囲の状況から殺人の可能性が浮上してくる。
8年前の夜に起こった轢き逃げ事件と小学生転落事故。氷川の不審な死。ダム建設と湖の底に沈んだ旧村。事故当夜のことを思い出しつつある冬馬が語る「ダイヤモンド・ダスト」の記憶。氷川が持っていた新聞記事。コナンは、それらの要素をつなぎ合わせ、真相に近づいていく。
が、今回の謎解きは、大したミスリードもなくシンプル。
クライマックスに訪れる危機はかなり大がかりなものであるが、それにしては犯人とその動機がみみっちくてどうにも不釣り合いである。ここは、べたでも荒唐無稽でもスケールのでっかい悪だくみがそれなりの理屈を持って仕組まれてほしかったところである。
ダム決壊による洪水を阻止するため、コナンはスキー場の積雪を利用して雪崩を起こそうとする。スピーディでダイナミックなコナンのスノーボーダーぶりは、見応えたっぷりである。冒頭の高速道路のシーンと併せて、今回はコナンの人間離れしたスケボ−&スノボ−・アクションを堪能するための一作であるとも言える。
エピローグでも「あと15分」のおまけがついてくるのが愉快。