山の中の映画ミュージアム「詩音眞」(しねま)を訪ねる

10月25、26日に福島県郡山市方面に旅行しました。
裏磐梯の紅葉を楽しみましたが、旅行のそもそもの目的は、郡山に住む知人のUさんが教えてくれた映画ミュージアムを訪ねることにありました。その名は「ミュージアム 詩音眞(しねま)」。


★追記★
以下、館の紹介をしていますが、実は、このミュージアムは、経営難から2011年秋に閉鎖され、現在はもうありません。大変味わい深い希少な施設でしたが、とても残念です。三瓶さん、ありがとうございました。(2011.12)



館長の三瓶さんは、郡山市の映画館で長年映画の看板を描いてきた方です。
廃校になった分校の校舎を村から借り受け、自ら改修し、ミュージアムとしてリフォームしました。入口には、分校の看板も残っています。


分校なので、山の中にあります。
平田村という村です。
JR郡山駅から車で50分。
自家用車かレンタカーがないと行きづらいのが難点ですが、自然の中にあって、木造の校舎をそのまま使っているので、たいへん味わいのあるミュージアムです。

三瓶さんが初めて見た映画は、「笛吹童子」。映画館ではなく、村にやってきた巡回映画館というものでご覧になったそうです。

そして、映画の看板との出会いは、郡山の劇場で上映されていた「赤胴鈴之介」のそれだったと言います。中学生だった三瓶さんは、初めて映画の看板を見て、こういうものを描く仕事があるのか、これなら自分も出来るかも知れない、と思ったと言います。

三瓶さんが看板描きのお仕事をしたのは、映画が全盛のころ。1週間でプログラムが変わるので、看板もそれに合わせて次から次へと新しいものを描かなければならない。「安い賃金」で、とにかく絵が上手になりたい一心で、無我夢中で描き続けたといいます。

保存はできないので、公開が終わると破棄され、当時描いたものは残っていないそうです。劇場前に掲げられたときに撮っておいた白黒写真でしか見ることができません。

日本映画から始めて、洋画の看板へと移っていきました。

ミュージアムにある看板は、三瓶さんが改めて描いたものです。
ポスターやチラシを見て、自分なりの構図を考えて描くのが三瓶流だそうです。

公開前には、看板を描くための資料として、配給会社からポスターやチラシなどたくさんの資料が送られてきたそうです。その多くは焼却など処分してしまったそうですが、大事に保管してあったものもあり、館内に展示してあるのは、そうしたものの一部だそうです。

作品は、1950〜70年代のものが中心となっています。
このころにたくさんの映画を見たファンの方々はもちろん、そうでなくても、たくさんの美しい看板は、とても楽しく見応えがあると思います。


最初の廊下には、往年のスターの写真とポスターがずらりと展示されています。

風と共に去りぬ

ピアノやオルガンに分校の名残が。

マカロニも。

健さんの向うに007。

トニーと寅さん。

「キッド」の向うに「笛吹童子」。

三瓶さんが描き上げたばかりの「駅馬車」。大作です。


ミュージアム詩音眞
〒963-8207 福島県石川郡平田村大字下蓮田字乙空釜75
(蓮田小学校乙空釜分校あと)
TEL 0247-55-3663
入場料 大人750円 高校生500円 中学生300円 小学生150円
休館日 毎週水・木曜日
営業時間 AM9:30〜PM5:00
※4日前に電話で予約すると、営業日以外でも開館してくれます。
※展示は3ヶ月ごとに変わります。
アクセス
東北自動車道:郡山ICから国道49号線をいわき方面へ
常磐自動車道:いわきJCで磐越自動車道へ。いわき三和ICから国道49号線を郡山・会津方面へ
国道6号線いわき市平より国道49号線を郡山・会津方面へ
国道4号線:郡山より国道49号線をいわき方面へ

<おまけ>
ちょっと前に「毒きのこ」で有名?になった道の駅「ひらた」。

きのこ売り場には、おわびと回収呼びかけの掲示がありました。

ここにも三瓶さんの看板が展示されています。