映画「リアル・スティール」を見る

リアル・スティール REAL STEEL
2011年 アメリカ 128分
監督:ショーン・レヴィ
原作:リチャード・マシスンリアル・スティール」(ハヤカワ文庫「運命のボタン」所収「四角い墓場」改題)
出演:チャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)、マックス・ケントン(ダコタ・ゴヨ)、ベイリー(エヴァンジェリン・リリー)、フィン(アンソニー・マッキー)、リッキー(ケヴィン・デュランド)、タク・マシド(カール・ユーン)、ファラ・レンコヴァ(オルガ・フォンダ)、デブラ(ホープ・デイヴィス)、マーヴィン(ジェームズ・レブホーン

★ミステリではないので、ねたばれというほどではありませんが、あらすじを大方説明しちゃっていますので、展開を知りたくない方は以下は読まない方がよいです。


近未来のアメリカ。格闘技のリングから人間の選手は姿を消し、代わりに遠隔操作による格闘用ロボットが、人々の熱狂を集めていた。
人間同士の試合が行われなくなり職を失くした元ボクサーのチャーリーは、中古ロボットのオペレーターとして地方巡業をしてなんとか糊口をしのいでいた。
ある日、別れた妻が亡くなり、一人息子のマックスが遺される。親権はチャーリーにあったが、母の妹である叔母デボラがマックスを引き取りたがっていた。デボラ夫妻が裕福であると見たチャーリーは、デボラの夫マーヴィンに親権と引き換えに10万ドルを支払うよう取引を持ちかける。取引は成立し、デボラ夫妻が旅行に行って帰ってくる夏の間、チャーリーとマックスはいっしょに暮らすことになる。
チャーリーは、あちこちに借金をつくっては踏み倒し、飲んだくれてその日暮らしを続けるだめ男になり下がっていて、息子に再会しても何も感じない。一方、11歳のマックスは、父が自分を叔母に売ったことをすぐさま見抜き、儲けの半分をよこすよう要求するようなしっかり者の少年で、ロボット格闘技の大ファンだった。
チャーリーは、マーヴィンから受け取った前金で中古ロボット、ノイジー・ボーイを買うが、最初の試合で破損する。修理のため侵入したスクラップ置き場で、マックスは廃棄されたロボットを見つけ、持ち帰る。それは、アトムという名のスパーリング用ロボットで、人の動きをまねするシャドーという独特の機能がついていた。マックスは、アトムにノイジー・ボーイの音声機能をセットし、さまざまな動きをプログラムして、試合に出ようとする。
落ちぶれたボクサー、父親に捨てられた少年(といっても結局いっしょに過ごしているのだが)、廃棄されていたロボットが、手を組み、再起する。
ひと夏の巡業を通して、チャーリーとマックスは心を通わせていく。
ロボットは、アメリカ映画のヒーローが愛着を抱いてきた相棒、馬や車や銃器のように扱われる。人まねをするアトムは、たいへん愛嬌があってかわいく見え、しかも打たれ強い。名前はアトムだが、造形はロボット刑事などを思わせ石森章太郎風である。
王者ゼウスとの最後の試合は、否が応にも盛り上がる。音声機能が壊れたアトムを、チャーリーがシャドー機能を使って操作する。ベテランボクサーの動きとリング上のロボットの動きがシンクロする。このうえなく、痛快な映像が目の前に展開する。
すかっとさわやかな幕切れ。「親子のきずな」に泣くというよりも、ここは快哉を叫びたい。

リアル・スティール (ハヤカワ文庫NV)

リアル・スティール (ハヤカワ文庫NV)