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ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル 
MISSION: IMPOSSIBLE - GHOST PROTOCOL
2011年 アメリカ 132分
監督:ブラッド・バード
出演:イーサン・ハント(トム・クルーズ)、ウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)、ベンジー・ダン(サイモン・ベッグ)、ジェーン・カーター(ポーラ・ハットン)、ヘンドリクス[コバルト](核物理学者。ミカエル・ニクヴィスト)、シディロフ(ウラジミール・マシコフ)、サビーヌ・モロー(殺し屋。レア・セドゥ)、ボグダン(イーサンの囚人仲間。ミラジ・グルビッチ)、ハナウェイ(IMF調査員。ジョシュ・ホロウェイ)、ナス(インドの実業家。アニル・カプール)、IMF長官(トム・ウィルキンソン)、ウィストロム(サムリー・エーデルマン)、ルーサー(ヴィング・レイムス
★多少ねたばれあります★
アメリカCIAの秘密チームIMF(Impossible Mission Force)のエージエント、イーサン・ハントの活躍を描くシリーズ第4作。
予告編で高層ビルの壁をよじのぼるトム・クルーズを見て、ああまたやるのかぐらいにしか思わなかったのだが、これがかなりおもしろかった。
そして、あの高層建築物は、アラブ首長国連邦のドバイにある「ブルジュ・ハリファ」という世界一高い塔(828m)だということを、映画を見た後で検索して初めて知った。この塔自体が実にきれいで、画面に映ったとたんに見惚れてしまった。下層から段違いで少しずつ細くなっていくあたりの造形がとてもいい。

ここで展開するアクションが、敵側の取引を阻むために、部屋を二つ借りてそれぞれの相手になりすまして取引を乗っ取るという、往年のテレビシリーズ「スパイ大作戦」でやっていたような、だましの戦略。ホテルの上と下の階で同時に、スリリングなしかけが展開されるのだった。
3作目を見ていないので、冒頭いきなりイーサンがロシアの刑務所に収監されているのでちょっと戸惑うが、わけがわからないほどではない。IMFの仲間によって脱獄を果たしたイーサンは、核ミサイル発射のための暗号コードを手にいれようとしている「コバルト」というテロリストの手がかりを追ってクレムリンへ侵入する。が、同時に侵入していたコバルト本人が爆破テロを決行、イーサンらは犯人のぬれぎぬを着せられる。アメリカ大統領から「当局は関与せず」というゴースト・プロトコルが発動され、孤立無援となったイーサンたちのチームは、独力で犯人を追い、核ミサイルの発射を阻止しなればならない状況に陥る。ブルジュ・ハリファでコバルトを逃したイーサンらは、インドの衛星を使って核ミサイルを発射させようという彼の計画を阻止するため、ムンバイに向かう。
国際的で派手なアクションが次から次へと続くのだが、そのひとつひとつが丹念に作られていて、飽きない。作戦の発想は、「スパイ大作戦」の流れを組むようなアナログで地道なものでありながら、ハイテクを駆使して実行するという、そのマッチングが見事である
刑務所では解き放たれた囚人たちが廊下にあふれてなかなか進めない、装備が備えてある貨車に飛び乗ろうとすると線路沿いに立つ鉄柱がじゃまになってなかなか乗り込めない、忙しいときにロシアの刑事が追ってきてじゃまをする、砂漠では人やラクダの群れが道路にうじゃうじゃいてじゃまをする、ブルジュ・ハリファの壁面を上っている最中にビルに張り付くための手袋の片方が故障する、犯人を追っていると砂嵐がやってくるなど、行く手を阻むものことごとく気が利いていて、気持ちよくじらされ、はらはらさせられるのだった。
関連作品:TVシリーズ「スパイ大作戦」(1966〜1973年。出演:ピーター・グレイヴス)、「ミッション・インポッシブル」(1996年。監督:ブライアン・デ・パルマ)、「M:I−2」(2000年。監督:ジョン・ウー)、「M:i:3」(2006年。監督:J・J・エイブラムス)