実写映画版「ルパン三世」を見る

ルパン三世
2014年 日本 公開東宝 133分
監督:北村龍平
プロデューサー:山本又一朗
原作:モンキー・パンチ
出演:ルパン三世小栗旬)、峰不二子黒木メイサ)、次元大介玉山鉄二)、石川五ェ門綾野剛)、銭形警部(浅野忠信)、マイケル・リー(ジェリー・イェン、吹替:加瀬康之)、ピエール(キム・ジュン、吹替:小野賢章)、ドーソン(ニック・テイト、吹替:坂口芳香)、ジロー(山口祥行)、ロイヤル(タナーヨング・ウォンタクーン、吹替:佐藤美一)、サーベル(吉田和剛)、マリア(中山由香)、ナローン(香港警察。ウィッタヤ・バンスリンガム、吹替:伊藤洋三郎)、モムラーチャオ・プラムック(ニルット・シリンチャンヤー 吹替:菅生孝之)、ミス・ヴィー(ラター・ボーガム、吹替:大和田美帆)、アジット(吹替:津田寛治)、CA(山田優
★ちょっとしたネタばれあり
言わずと知れた人気アニメの実写化。マンガやアニメの実写映画化にあたっては、オリジナルの人気が高ければ高いほど、観る前からだめだという人が多いと思われる。冒涜という言葉を聞くこともしばしばだ。別物と考えればいいのにといつも思っていたのだが、でも、ここに至ってちょっと考えが変わった。小栗旬玉山鉄二綾野剛黒木メイサ浅野忠信が、あのルパン三世の登場人物たちを演じるのを、実にわくわくと楽しみながら観たのだが、これは例えば、国民的マンガ「ONE PIECE」のイベントで、キャラクターに扮した役者が舞台劇を演じ、ファンが大喜びで彼らと記念写真を撮る、その思いに共通するものがあるのではなかろうかと思った。無名の役者でもそうなのだから、名だたる俳優が演じるとなれば、さらに盛り上がるというものだ。アトラクション的というか、「ルパン」というみんなが知っているお祭りの一環としての映画というか。
画面からあふれるのは、作り手と演者たちの、「ルパン」への愛と敬意である。浅野忠信がなんてハツラツと銭形警部を演じていることか。だから、五ェ門が斬鉄剣で切ったのに、車がいつまでたってもまっぷたつにならないのを見ると、「え!?」と驚いてたしかにがっかりするのだが、瞬時にさぞかし無念であったろうと作り手たちの心情に思いを馳せてしまう。(それもこれもこっちが勝手に思っているだけだが。)
車は斬れなかったが、アクション続きで、楽しかった。次元が、アニメと同じポーズで銃を撃ちながら、吹っ飛ぶのはうれしかった。当人同士しか声がきこえないガラス張りの中での、マイケルとプラムクの取引は緊迫していてよかった。マイケルの人物像がおもしろみに欠けるのが難点だったが、台湾や韓国やタイの俳優を起用して、吹替えをふんだんに使った無国籍ぶりもよかった。
上映前の、「ノーモア映画泥棒」が、ルパン仕様だった。かねてよりセンスが悪すぎると思っていた「映画泥棒」だが、初めてちょっと楽しいと思った。