大竜巻映画「イントゥ・ザ・ストーム」を見る

イントゥ・ザ・ストーム INTO THE STORM
2014年 アメリカ 89分
監督:スティーヴン・クエイル
出演:ゲイリー(リチャード・アミティッジ)、ドニー(マックス・ディーコン)、トレイ(ネイサン・クレス)、ケイトリン(アリシア・デブナム=ケアリー)、
ピート(マット・ウォルシュ)、アリソン(サラ・ウェイン・キャリーズ)、ダリル(アーレン・エスカーペタ)、ジェイコブ(ジェレミー・サンブター)、ルーカス(リー・ウィテカー)、
ドンク(カイル・デイヴィス)、リービス(ジョン・リーブ)

アメリカ中西部の町を巨大な竜巻が襲う。
町に住む高校生の家族、竜巻の映像を撮ることを目的とする竜巻ハンターチーム、そしておまけ的に動画を流して注目されることに命をかけるおばか冒険野郎のユーチューバー2人組に的を絞って、未曾有の災害に見舞われた人々の救出劇を描く。
高校性のドニーは、母が病死してから、教頭先生である父親のゲイリーとの関係がギクシャクしている。卒業式の日、タイムカプセル用に25年後の自分へのメッセージというテーマで卒業生や町の人々にインタビューしたビデオを撮影をするよう、ゲイリーから指示されていた。が、意中の女の子ケイトリンがレポート提出のため廃工場に行くのに付き合うことにし、卒業式には出ず、ビデオ撮影を弟のトレイに押しつける。
一方、竜巻の撮影に執念を燃やすピートをボスとするハンターチームは、竜巻仕様の装甲車に乗り込んで、気象学者のアリソンの分析によって導き出される竜巻の発生場所と通過ルートを目指していた。
映画自体のカメラと別に、ドニーとトレイがタイムカプセル用の映像を撮るビデオ、ハンターチームが竜巻を撮るためのビデオ、ユーチューバーたちが撮るビデオ、さらにドニーとケイトリンが危機に陥ったときに遺書代わりに残す携帯の動画など、めまぐるしいほどに、映画の中で動画が飛び交う。
が、そうした手法はおもしろくはあっても煩わしくはなく、物語はいたってオーソドックスに、細部にわたって行き届いた気配りを伴って進む。
廃工場の陥没穴に落ちて危機に陥るドニーとケイトリンを、ゲイリーが救出にいくのだが、どう見ても間に合いそうにないのに間に合ってしまう、「最後の救出」カットバック(危機が迫っている側のカットと救出に向かう側のカットをかわりばんこにつないでサスペンスをもりあげる)を久しぶりに観た気がする。
竜巻撮影に執念を燃やすピートをリーダーとするハンターチームの竜巻仕様の装甲車タイタスがおもしろい。チェーンを繰り出すレンチも、地面に車体を固定するドリルも、あらゆる方向から竜巻が撮れる全方位型風防も、紹介された機能がすべていちいち活用されるのがよい。
以前「ツイスター」(1996年)で大型トラックが吹き上げられるのを見て、ああなんてすごい竜巻だと思った。通常地上にあるものを空中に飛ばすことで竜巻の凄さを表しているのだなと思ったが、今回は、航空機が飛ぶ。本来、空を飛ぶものをあえて飛ばしたということだ。自力で飛ぶのでなく、他の力によって飛ばされてぶつかりあう航空機の映像は、なかなかショッキングであった。
有名な俳優は一人も出ていないが、びしっとした豪快なアクション映画だった。