ザ・シューター 極大射程

アメリ海兵隊の狙撃手スワガー(マーク・ウォルバーグ)は、エチオピアの任務で相棒の観測士ドニーを失ってから一線を退き、モンタナの山奥で愛犬サムとともに自給自足の生活を送っていた。ある日、ジョンソン大佐(ダニー・グローバー)とその部下が訪れ、大統領暗殺計画阻止のための協力を依頼してくる。狙撃手の視点から敵の計画を読んでほしいというのだ。依頼を引き受けたスワガーだったが、そこにはとんでもない罠が仕掛けられていた。
一瞬にして大統領狙撃犯として追われる身となったスワガーは、持てる能力を総動員して対抗する。
事件発生現場から追っ手を振り切り、ドニーの妻サラ(ケイト・マーラ)を頼っていくまでの逃走劇でまずわくわくする。
スワガーに武器と車を奪われたFBIの新米捜査官ニック(マイケル・ペーニャ)が、事件の経過を追う内に疑問を抱き、スワガーの言葉を信じるようになっていく過程もおもしろい。
ニックを仲間に引き入れ、反撃にでるスワガー。雪山での狙撃戦も見応えがある。
ウォルバーグは、無神経すぎず繊細すぎず、ヒーローとしてちょうどいいあんばい。ペーニャのニックは悪くないと思うが、もう少し見せ場というか、面白さを出してほしかった気がする。マーラは、果敢な未亡人サラを好演。なぜかザ・バンドのボーカリストにしてドラマーだったレヴォン・ヘルムが銃器のことなら何でも知っている老人役で顔を見せる。
スワガーは長距離射撃の名手で2000m先の標的を撃つことができる。映画では、1600m先の空き缶を試し撃ちしてみせる。1600mとはどれくらいの距離なのか、東京都道路地図を使い、土地の高低は無視して直線距離だけで確かめてみると、
 東京タワー 〜 六本木ヒルズ (1500m)
 東京タワー 〜 日比谷公会堂 (1700m)
 JR高田馬場駅 〜 早稲田大学大隈講堂 (1600m)
といった辺りがわかりやすいかなと思う。とにかく遠い。人が歩いて22、3分の距離、弾丸も標的にたどり着くまでに数秒かかるという。風があるとまた違ってくるが、風の向きや強さが分かれば対応できるとスワガーは言う。素人はほえ〜と驚嘆するばかりだ。
サブタイトルの「極大射程」は、狙撃手スワガーの凄腕ぶりを示す原作小説の邦題である(原題は Point of Impact)。あまり評判がよくないようだが、私は大げさで好きだ。何年か前に読んだことがあり、かなり面白かったという印象はあるのだが、細かい内容をほとんど覚えていない。読後のメモには「爽快。スワガー、強すぎる。ニック、もう少し味を出してほしかった。映画を見てるみたいだった。」と書いてあった。

極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)

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