映画「レッドクリフ Part2 未来への最終決戦」を見る

レッドクリフ Part2 未来への最終決戦 Red Cliff:PART2 赤壁 決戦天下
2008年 アメリカ・中国・日本・台湾・韓国  144分
監督:ジョン・ウー
出演:周瑜トニー・レオン)、孔明金城武)、曹操チャン・フォンイー)、孫権チャン・チェン)、尚香(ヴィッキー・チャオ)、趙雲フー・ジュン)、甘興中村獅童)、小喬(リン・チーリン)、劉備(ユウ・ヨン)、魯粛(ホウ・ヨン)、関羽(バーサンジャプ)、張飛(ザン・ジンシェン)、 孫叔材(トン・ダーウェイ)、驪姫(ソン・ジア)、黄蓋(チャン・サン)、
華蛇[軍医]、夏侯雋[かこうしゅん]、蒋幹、蔡蒯、張允

(*多少のネタばれあります)

いよいよ三国志最大の見せ場のひとつ、赤壁の戦いである。
スクリーンに出た「赤壁 決戦天下」という字を見て盛り上がる。(個人的には漢字のタイトルの方が絶対かっこいいと思うのだが、「レッドクリフ」とか「未来への〜」とかにした方が人が来るというのなら、それは潔く受け入れようと思う。)
Part1は、さあこれから決戦!というところで終わってしまったが、そのあとも多少の前置きがある。
長江の風上に曹操軍、風下には蜀と呉の連合軍が陣取る中、曹操は疫病で死んだ部下の死体を流して敵の陣営にも疫病をはびこらせるという情の欠片もない手を使う。
これによって、劉備軍は一時退いてしまうので、今回の彼等の出番は少ない。
孔明は一人呉軍の陣営に残るが、目立つのはやはり呉の人々、周瑜を始め、尚香と小喬の二人の女、海賊上がりの武将甘興、そして若き君主孫権が妹への気遣いや意外な戦いぶりなどなかなかいいところを見せる。
曹操の出番も多く、それはうれしいのだが、「治世の能臣、乱世の奸雄」と言われて大笑いしたという曹操を、監督はどうしたかったのか。梟雄の凄味を見せたくはあるが、でも結局最後は無様に負ける悪者にしないとということなのか。小喬との絡みも含めて、彼の扱いはどうにも中途半端な気がする。
さて、孔明は濃霧を利用して10万本の矢を手に入れる。周瑜は偽の手紙を用いて敵の水軍の専門家である蔡蒯と張允の排除に成功する。孫権の妹尚香は、敵の陣地に潜入して情報を探る一方で、敵軍兵士叔材との間に無邪気な友情を芽生えさせる。
80万の曹操軍に、わずか5万の呉軍が対抗するには、火攻めしかないということになるが、冬のこの時期、長江に吹くのは西北の風ばかりで、川下の呉軍にとってそれは逆風。東南の風を求めて、「三国志演義」では、孔明は七星壇という祭壇をこしらえさせ祈祷して風を呼ぶという大仰な儀式が描かれる。本作ではそれはなく、孔明気象予報士の技量を発揮して、東南の風を予報する。(ちなみに、三国志演義との違いをあと少し言うと、船と船をつなぐ連環の計は、蔡蒯と張允が自ら言いだしたことになっていて、黄蓋の苦肉の策は彼の提案のみに終わっている。)
やがて、西北の風がぴたりと止まり、東南の風が吹く。この風向きが変わる瞬間。軍勢から離れ平原で風を待つ孔明の立ち姿は美しく、風に翻る旗は実に絵になる。が、それでも、私の期待が大きすぎたのか、思ったほどの恍惚感は得られなかった。「風が変わった!!」という大きな感動がすっと入ってこない。小喬のお茶に誘われて曹操は風が変わる瞬間を見逃すのだが、このお茶の場面が、サスペンスを盛り上げるというよりもどちらかというとじゃまくさい(ていうか小喬うざくない?と思ってしまった(^^ゞ)。
前作に引き続き、大味でストレートでわかりやすく、豪勢な画面が楽しめる。クライマックスは劉備軍も駆けつけて、壮絶な戦いを展開する。周瑜趙雲が並んで戦うところがいい。