カメレオン西部劇アニメ「ランゴ」を見る

ランゴ Rango
アメリカ 2011年 107分
監督:ゴア・ヴァービンスキー
エンディングの歌「ランゴ」のテーマソング:byロス・ロボス
出演(声):ランゴ(カメレオン。ジョニー・デップ)、マメータ[ビーンズ](イグアナ。アイラ・フィッシャー)、ジェイク(ガラガラ蛇の殺し屋。ビル・ナイ)、町長(かめ。ネッド・ビーティ)、プリシラ(子ねずみ。アビゲイル・ブレスリン)、バルサザー(ねずみ。ハリー・ディーン・スタントン)、バッド・ビル(とかげ。レイ・ウィンストン)、アンブローズ(ふくろう。イアン・アバークロンビー)、傷ついた鳥(ギル・バーミンガム)、メリマック(? スティーヴン・ルート)、アンジェリーク(狐。クローディア・ブラック)、ロードキルアルマジロアルフレッド・モリナ)、西部の精霊(ティモシー・オリファント)、マリアッチふくろう4人組
ひ弱なペットのカメレオンが、西部の町の英雄になるまでを描くアニメ。
砂漠に置き去りにされた1匹のカメレオンが、動物たちの住む西部の町「ダート」(土の町)にやってくる。そこで彼は架空の武勇伝をでっち上げ、ランゴと名乗る。町の天敵のタカをたまたま一発の銃弾で倒したことから、彼は英雄として町のみんなから信頼され、保安官となる。
町は極度の水不足にあえいでいた。が、その裏には町の黒幕の陰謀が潜んでいた。ランゴは偽の英雄であることがばれないかとびくびくしつつも、陰謀を暴き、町を救おうとする。
爬虫類や両生類やねずみやモグラと言った、気持ち悪がられそうな動物たちばかりたくさん出てくるが、その造形は洗練されていてなんともおしゃれ。埃っぽい西部の町の雰囲気や登場人物たちのコスチュームも気が効いている。身体に弾薬帯を何重にも巻きつけ、尻尾がガトリング銃になっているガラガラ蛇の殺し屋ジェイクなど、実にナイスである。
ランゴが人生に悩んでいて、複数の者から何度となく「お前は誰だ?」といかにも意味ありげに聞かれ、自分探しやらアイデンティティの確立やらといった哲学的な要素が絡むのは、私にはどうにも生ぬるく感じられた。10代のころだったら興味深く見られたかもしれない。
「ジャンゴ」なみに「ランゴ〜♪」と主役の名前を連発するテーマソングやマカロニ時代のイーストウッドそのもののいでたちで登場する西部の精霊など、マカロニ・ウェスタンの要素を随所にちりばめてはいるが、冒頭から登場してランゴの伝説を歌うマリアッチふくろう4羽組は、「キャットバルー」だし、風景はモニュメントバレーだしで、アメリカとイタリアの西部劇に、現代的な心の悩みなど、いろいろ混じった不思議なテイストのファンタジー西部劇であった。

ランゴ おしゃべりカメレオンの不思議な冒険 [DVD]

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