映画「GODZILLA ゴジラ」を見る

GODZILLA ゴジラ 
2014年 アメリカ 123分
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フォード・ブロディ(アーロン・テイラー=ジョンソン。少年時代:CJ・アダムス)、芹沢猪四郎博士(渡辺謙)、ヴィヴィアン・グレアム(サリー・ホーキンス)、ウィリアム・ステンツ司令長官(デヴィッド・スタラザーン)、エル・ブロディ(エリザベス・オルセン)、サム・ブロディ(カーソン・ボルデ)、ジョー・ブロディ(ブライアン・クランストン)、サンドラ・ブロディ(ジュリエット・ビノシュ

★ちょっとネタバレあります!!

ハリウッド版ゴジラ。1998年の軽快なラプトル型ゴジラとはだいぶ変わって、重量級の巨大ゴジラである。
1954年の東宝のオリジナル作品では、ゴジラは水爆実験によって突然変異した怪獣だったと思うが、今回のゴジラは太古の昔から存在した放射能を浴びて育つ生きもの。水爆実験はゴジラを倒すために行われたということになっていて、人類の核の使い過ぎによって生まれたのは、ムートーというギャオス型の番いの怪獣である。
1999年、日本の原子力発電所で謎の振動が起こり、放射線漏れの事故が発生、科学者のジョー・ブロディは、同所スタッフだった妻のサンドラを亡くす。このときの夫妻の扉越しの別れは切ない。15年後、彼らの一人息子のフォードは米海軍の大尉となっていた。ジョーは、侵入禁止区域に入り込んで、15年前の事故のデータを手に入れようとして逮捕される。彼の身柄を引き取るため、休暇中だったフォードは日本を訪れる。そこでムート―が目覚め、ムートーを追ってゴジラもやってくる。彼は、海軍に合流し、怪獣退治の作戦に加わる。
渡辺謙が、原爆で父を亡くした日本人生物学者芹沢猪四郎博士を演じる。アメリカ人に怪獣の名前を聞かれて、”We call him Godzilla!“と答える。「Godzilla」(ゴ、ズィーラ)ではなく「ごじら」と発音するのが、うれしかった。しかし、彼は対応策は何も提案せず、ほとんど役に立たない。とりあえず居て、いろいろと解説をする役どころである。
ムート―の登場までが長く、さらにゴジラの登場までが長いので、ちょっと眠くなってしまった。
全身を現したゴジラは、前評判でも言われていたことだが、少々太めで、ちょっと蝦蟇ガエルっぽかった。放射線を吐き、そのとき背びれが光るのが懐かしかった。
私にとって、これはこの背びれを見るための映画のように思えた。海を行くゴジラの背びれだけが海面に突き出したカットや、夜の街で背びれが浮き出て見えるカットを予告編で目にしたときからずっとわくわくしていた。1954年の東宝オリジナルのゴジラの、サンゴの枝のような樹枝結晶のような背びれもよかったが、今回の水晶の結晶のような、荒涼とした奇岩群のような造形もかなり気に入った。
映画は、全体的に暗いトーンで、悪くはないが、地味めである。フォードや海軍の指揮官や芹沢博士などの登場人物も控えめだった。音楽は伊福部調を取り入れたアメリカ映画音楽だった。