映画「るろうに剣心 京都大火編」を見る

るろうに剣心 京都大火編
2014年 日本 公開ワーナー 139分
監督:大友啓史
原作:和月伸宏るろうに剣心 明治剣客浪漫譚
出演:緋村剣心佐藤健)、斎藤一/藤田五郎江口洋介)、四乃森蒼紫(しのもりあおし。伊瀬谷友介)、柏崎念至/翁(田中泯)、巻町操(土屋太鳳)、新井赤空(しゃっくう。中村達也)、新井青空(せいくう。渡辺大)、志々雄真実(藤原竜也)、瀬田宗次郎(神木隆之介)、佐渡島方治(さどじまほうじ。滝藤賢一)、刀狩の張/沢下条張(さわげじょうちょう。三浦涼介)、悠久山安慈(丸山智己)、駒形由美(高橋メアリージュン)、神谷薫(武井咲)、相楽左之助青木崇高)、高荷恵(蒼井優)、明神弥彦(大八木凱斗)、大久保利通宮沢和史)、伊藤博文小澤征悦)、謎の男(福山雅治

★ネタバレあります!!

続編にして完結編だそうだが、二部作なので前編である。
幕末の人斬り抜刀斎の名を捨て、不殺(ころさず)の誓いを立てた剣心は、江戸にある薫の道場で仲間の恵や弥彦や左之助とともに平穏な日々を過ごしていた。が、ある日、明治新政府の内務卿となった大久保利通に呼び出され、志々雄真実を殺してほしいと依頼される。志々雄は、幕末に剣心の後継者として人斬りになった男で、維新後新政府の裏切りで焼き殺されかけるが、灰の中から生還し、仲間を集めて新政府の転覆を目論んでいた。斎藤は警官隊を率いて一味を襲撃するが返り討ちに会う。大久保は、剣心を最後の頼みの綱としたのだった。
不殺(ころさず)の誓いを立てた剣心であったが、討伐隊の惨状を目にし、会見後間もなく大久保が暗殺され、しかも隠された真犯人が志々雄の配下十本刀の一人瀬田宗次郎であることを知ると、単身、志々雄一味のいる京都へ旅立つのだった。
道中、志々雄一味に襲われた村での1対多勢の戦い、志々雄との対面、宗次郎との軽めの対決、その後の十本刀の沢下条張との対決を経て、剣心は京都に到着。旅の道づれとなった元御庭番衆の操の家である料亭に身を寄せる。左之助と薫と弥助も剣心を追ってくる。
立ち回りは前作同様、スピード感にあふれ、見ていて爽快である。
逆刃刀(さかばとう)を巡る刀匠赤空・青空親子と剣心との関わりあいもよかった。
志々雄役の藤原達也は、幕末の回想シーンでしか素顔を見せず、全身に火傷を負って包帯だらけで登場する。最近のこの人の本領発揮の壊れた悪役どころである。
しかし、彼が企て、映画のタイトルにもなっている「京都大火」は、いまひとつ。
事前に情報を知り、剣心も斎藤や御庭番衆らとともに志々雄一味を待ち受ける。乱戦となり、それぞれが戦って見せ場があり、特に剣心打倒に燃えるあまり修羅と化した蒼紫とトンファーを駆使する柏崎翁との元御庭番衆同志の対決はおもしろい。
が、やがて特にきっかけもなく、剣心と斎藤が気づく、志々雄の狙いは京都にはないと。この展開がどうもおもしろくない。前哨といえども、映画1本のクライマックスとしては、なんとなくわかるのではなく、それなりに順を踏んで志々雄の真意が暴かれていって、そうだったのか!と思いたいし、「大火」で盛り上がりたいところである。マンガを読んだ人によれば、原作では船が燃えて大火となるらしいのだが、映画では結局大火とはならないのだった。
「不殺の誓い」を立てた凄腕の剣士という矛盾を抱えたヒーローを、どう活かし、魅せるのか。後編に期待である。
※余談だが、柏崎翁の田中泯吉田東洋役)、青紫の伊勢谷(高杉晋作役)に、最後に謎の男で福山雅治(龍馬役)が登場、NHK大河ドラマ龍馬伝」の顔ぶれがさらに増殖している。

<関連作の感想はこちら>
・「るろうに剣心」 http://d.hatena.ne.jp/michi-rh/20120920
・「るろうに剣心 伝説の最期編」 http://d.hatena.ne.jp/michi-rh/20140923/1411435775