映画「探偵はBARにいる」を見る

探偵はBARにいる
2011年 日本 東映 125分
監督:橋本一
原作:東直己バーにかかってきた電話
出演:探偵<俺>(大泉洋)、高田(松田龍平)、沙織(小雪)、霧島敏夫(西田敏行)、松尾記者(田口トモロヲ)、南弁護士(中村育二)、花岡組殺し屋(高嶋政伸)、近藤百合子(竹下景子)、近藤京子(街田しおん)、近藤恵(吉高由里子)、田口幸平(有薗芳記)、田口康子(阿知波悟美)、田口晃(武井椋)、佐山(波岡一喜)、則天道場塾生(野村周平)、岩淵恭輔(石橋蓮司)、岩淵貢(本宮泰風)、相田(松重豊。桐原組幹部)、桐原組組長(片桐竜次)、源ちゃん(マギー)、峰子(安藤玉恵。ウエイトレス)、スナック元従業員(新谷真弓。京子の元同僚)、スポーツバーのマスター(榊英雄)、ケラーオオハタのマスター(桝田徳寿)、マキ(カルメン・マキ)、電話のコンドウキョウコ(?)
北海道札幌市の繁華街ススキノを舞台に、私立探偵の「俺」とバイトの運転手高田のコンビが、事件を追う。原作は、同シリーズの他の作品「バーにかかってきた電話」の方の話らしい。
携帯電話も事務所も持たない、しがない探偵の「俺」は、いきつけのバー「ケラーオオハタ」の黒電話を連絡手段としている。(が、「BARにいる」というタイトルから連想されるほどバーにいりびたっているという感じでもない。)
ある日、コンドウキョウコと名乗る謎の女から電話で奇妙な仕事の依頼が入る。それは、大手企業の顧問弁護士である南に、昨年のある夜「加藤」がどこにいたか訊いてほしいというものだった。
展開も犯人も依頼人の正体もさほど目新しくはないが、とにかく軽快で愉快、時にハードなアクションシーンを織り交ぜつつ、バーに黒電話、繁華街、ヤクザ、美しい未亡人、ほろ苦い結末とハードボイルドの要素をふんだんに盛り込んでいて、見せる。
ハメットやチャンドラーというよりは、どちらかというと「ルパン三世」(それも初期の)を思わせるが、この雰囲気がなんとも心地よい。程よいおとぼけ、程よいかっこうつけ、程よい現実離れと、きっちりとバランスのとれている映画だと思った。
大泉洋松田龍平のコンビがよく、掛け合いも絶妙。相棒映画の傑作と言えよう。二人が動物園(旭山か)に行ってライオンを見るシーンがあることに泣けてしまった。
他にも、峰不二子よりは「さらば愛しき女よ」のシャーロット・ランプリングを思い出させる小雪、凶暴な殺し屋役を怪演する高島政伸、あまり活躍しないが味のある地元ヤクザの松重など、脇役も充実している。冒頭、カルメン・マキの歌が聴けるのも楽しい。
ご時勢とは言え、煙草のけむりとマッチがないのはさびしい気がしたが、このような作品がヒットして、ハードボイルドという空気が若い人たちの中に吹き込まれてほしいと思うのだった。

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)