映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を見る(感想)

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル INDIANA JONES AND THE DIAL OF DESTINY
2023年 アメリカ 154分
監督:ジェームズ・マンゴールド
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグジョージ・ルーカス
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:インディ・ジョーンズハリソン・フォード)、ヘレナ・ショー(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)、バズ/バジル・ショー(トビー・ジョーンズ)、テディ(イーサン・イシドール)、
レナルド(潜水士。アントニオ・バンデラス)、サラー(エジプトの発掘家。ジョン・リス=デイヴィス)、
ユルゲン・フォラー(科学者。元ナチスマッツ・ミケルセン)、クレーバー(フォラーの部下の殺し屋。ボイド・ホルブルック)、メイソン(CIA捜査員。ショーネット・レネー・ウィルソン)、
アルキメデス(ナーサル・メマルツィア)、マリオン(カレン・アレン

 

★ネタバレあり!!! 注意!!!★

 

インディ・ジョーンズのシリーズ5作目。
80歳を目前に控えたハリソン・フォードが老いてなお冒険野郎の魂を持ち続けるヒーローを好演している。なんだかんだ言っても、インディがシンボルの帽子と鞭を身に着けて、あのテーマ音楽がなると、自然とわくわくしてしまう。
4作目の「クリスタル・スカルの王国」において異星人宇宙SFの体をなした本シリーズは、5作目ではさらに時間ネタSFとなってインディ・ジョーンズは時を超える。
ラストのベタなタイムトラベルだけでなく、冒頭は第二次世界大戦中の1944年、若い(といっても中年)インディがナチスとお宝の争奪戦を繰り広げるシーンで始まり、本筋はアポロ11号月面着陸のニュースに沸き立つ1969年が舞台となる。そう遠くない歴史的出来事のあった年に回帰する時代設定となっていて、第二次世界大戦はさすがに親の世代だが、月面着陸のときは小学生だったので私にとっては個人的にもなつかしい。
1944年、ナチスが手に入れた「ロンギヌスの槍」目当てにドイツ軍に潜入して捕らえられたインディは、槍とは別のお宝「アンティキティラのダイヤル」の半欠けを手に入れる。
それから25年後、全米が人類月面着陸のニュースで沸き立つ中、大学教授を退いたインディの元に、かつて考古学者仲間だったバズの娘ヘレナがやってきて、例のダイヤルを巡る話を持ち掛ける。
同じくして、元ナチスの科学者フォラーもダイヤルの行方を追っていた。アメリカのロケット学者となっていた彼は、CIA捜査官メイソンらの協力を得て、インディからダイヤルを奪おうと執拗な攻撃をしかけてくるのだった。
次から次へとあの手この手で追いつ追われつの追っかけシーンが続く。陸海空の乗り物を駆使したシーンの連続は007シリーズを思わせるが、最初の1944年のシーンでは疾走する列車の中と屋根の上での攻防、つづく1969年になって最初の見せ場では、馬に乗ったインディが、月面着陸を祝うパレードで賑わう都会の大通りを駆け巡るという、西部劇っぽくてなんともうれしいアクションを見せてくれる。
ダイヤルは、古代ギリシャの賢者アルキメデスが考案した時空の計算機ともいうべきものだった。その矢が指し示す先は時空の谷、1939年に戻ろうとしたフォラーだったが、彼らが行きついたのは、紀元前212年のエーゲ海シチリア島で、ギリシャ側がローマ軍の攻撃を受けているシラクサ包囲戦の真っ最中だった(アルキメデスが、ダイヤルを手にして「ユリイカ!」と言うのは可笑しい)。
ここで、インディが考古学者として至福の思いを抱く様子がなんともよい。状況の異常さ危険さを忘れて、書物や遺物だけて推し量っていた古代の歴史的事実を目の当たりにして感激するインディ。ここに残る!と言って若者を困らせる頑固な老人と化すのが、憎めなかった。

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