映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を見る(感想)

シェイプ・オブ・ウォーター THE SHAPE OF WATER
2017年 アメリカ 124分
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イライザ(サリー・ホーキンス)、半魚人(ダグ・ジョーンズ)、ストリックランド(マイケル・シャノン)、ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)、ゼルダオクタヴィア・スペンサー)、ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)、

囚われの半魚人と、口のきけない孤独な女性イライザの恋。
国の秘密機関である研究所に、密かに謎の水棲生物が輸送されてくる。夜間勤務の掃除婦イライザは、青く光る鱗に全身を覆われた半魚人の姿を目にし、「彼」に心引かれていく。
当局による半魚人の生体解剖を阻止するため、イライザらは半魚人救出を計画し、ソ連のスパイは半魚人暗殺を計画する、二つの企てが同じ夜に決行され、さらにその企てに研究所の警備担当官が気づいてしまい、果たしてイライザは半魚人を脱出させることができるのか!?というサスペンスが盛り上がるあたり、わくわくする。ソ連のスパイの介入によって事態がひたすらイライザと半魚人に優位に動いていくのが、うまくいきすぎると思いつつも気持ちがいい。それまでひたすら憎々し気なふるまいを見せていた警備担当官ストリックランドの買ったばかりの新車がぐしゃっとつぶされるのが痛快だった。
ゲイの画家ジャイルズ、イライザの同僚の黒人女性ゼルダ、家庭人の一面を見せつつもやはり一身に憎まれ役を負うストリックランドと、脇の人々がなかなか面白い。
イライザの首の傷跡がついた理由については最後まで明かされないが、彼女が切り落とされたストリックランドの指をいとも平然と拾って紙袋に入れたり、半魚人を間近に見ても動じなかったりする様子から、むごいことや異常な状況に慣れている、これまでいろいろ辛い目に遭ってきた人なのだなということが窺え、それゆえ異形の者を受け入れて幸せそうになっていくのが、なんか切なくてよかった。
半魚人はもっと暴れるのかと思ったら、そんなに暴れなかった。暴れる半魚人、薄幸なヒロイン、二人の悲恋! というハードな感じかと思ったら、割と能天気な展開なのもよかった。