ドラマ「イエローストーン」を見ている(シーズン3途中までの感想)

イエロー・ストーン YELLOWSTONE

2018年~  アメリカ TVドラマ
企画:テイラー・シェリダン、ジョン・リンソン
製作総指揮:テイラー・シェリダン、ジョン・リンソン、アート・リンソンケヴィン・コスナー

出演:ジョン・ダットン(イエローストーン牧場主。ケヴィン・コスナー)、ケイシー・ダットン(三男。ルーク・グライムス)、ベス・ダットン(長女。投資銀行勤務。ケリー・ライリー)、ジェイミー・ダットン(次男。弁護士。新司法長官に立候補する。ウェス・ベントリー)、リー・ダットン(長兄。デイヴ・アナブル)、モニカ(先住民。ケイシーの妻。教師。ケルシー・アスビル)、テイト(ケイシーとモニカの息子。プレッケン・メリル)、フェリックス・ロング(モニカの祖父。ルディ・ラモス)、ロバート・ロング(モニカの兄。ジェレミア・ビツイ)

リップ(カウボーイ頭。コール・ハウザー)、ジミー(新米カウボーイ。ジェファーソン・ホワイト)、ロイド・ピアス(ベテランカウボーイ。フォリー・J・スミス)、コルビー(カウボーイ。黒人。デニム・リチャーズ)、ライアン(イアン・ボーエン)、ウォーカー(ギターを持ったカウボーイ。ベテランだがイエローストーンでは新参者。ライアン・ビンガム)、エイブリー(カウガール。タナヤ・ビーティ)

ライネル・ベリー(モンタナ州知事。ウェンディ・モニツ)、マイク・スチュワート(司法長官。ティモシー・カーハート)、トーマス・レインウォーター(部族政府首長。ギル・バーミンガム)、ダン・ジェンキンス(開発業者。ダニー・ヒューストン)、

<シーズン2から>マルコム・ベック(不動産開発業者。ニール・マクドノー)、カウボーイ(スティーヴン・ウィリアムズ)、キャシディ・リード(ケリー・ローバッハ)

<シーズン3から>
ロアーク(ヘッジファンド・マネージャー。ジョシュ・ホロウェイ)、エリス・スティール(マーケット・エクイティーズのマネージャー。ジョン・エメット・トレイシー)、ティーター(ジェニファー・ランドン)、ミア

WOWOWにて放映。シーズン1・2は放映終了(オンデマンド配信あり)。3を放映中。

★注意! 後半はシーズン1のあらすじを書いています!


モンタナ州イエローストーン国立公園に隣接するイエローストーン牧場。
ジョン・ダットンは、代々続く広大な牧場の経営者であるとともに地元の権力者でもある。家畜協会の代表を務め、州知事のベリーとも懇意にしている。
開発業者によって近接する土地が新たに買収され、イエローストーン牧場は、イエローストーン国立公園、ブロークンロック先住民居留地、宅地造成予定地に囲まれることとなった。部族政府の首長トーマス・レインウォーターは、白人に奪われた先祖の土地を取り戻そうとし、開発業者のジェンキンスはモンタナに新しいマンションやカジノを造成する計画を進めようとし、ダットンと対立する。
ドラマは、この三者の三つ巴の戦いとともに、ダットン家内部の複雑な家族関係を描いていく。兄弟中で最も危うさを感じさせるケイシーとその妻モニカと幼い息子テイトの行く末が気にかかるところだ。
これまでのアメリカ映画だったら、おそらくレインウォーターやモニカらインディアンとそれに寄り添う白人男性ケイシーが主役となり、牧場と町を牛耳るジョン・ダットンは対立する巨悪の大ボスといった役どころとなるだろうか。ところが、ここではその大ボスが主役である。レインウォーターは、インディアンのリーダーだが、虐げられた被害者ではなく、メキシコで育ったインテリで、祖先の地に戻ってきた政治家として大いなる野心を見せる男である。父を嫌っていたケイシーは、結局牧場に戻り、ジョンは父親らしい面も見せる。一概にだれがいい奴でだれが悪い奴とは言えない、複雑で重厚な人間たちの群像劇となっている。
ドラマでは、敵味方警察関係なく誰もがやたらと人を殺す。製作総指揮のシェリダンが監督した映画「ウインド・リバー」を見れば、アメリカの法制度の下、先住民居留地とその周辺地域がどれだけ法律に守られていない場所かよくわかるが、登場人物たちは現代なのに西部開拓時代のような無法ぶりを見せる。警察や行政も絡んで画策に加担し、事実を隠して首尾よく形を整えることがまかり通っている。ここでこの人(たち)がこの人(たち)を殺すのか!?と唖然とし、暗澹たる気持ちになることもしばしばである。シーズン2では、ベック兄弟を相手に血で血を洗う壮絶な殺し合いが展開する。
一方、雄大なモンタナの大自然を背景に、どこまでも広がる牧場での現代のカウボーイたちの仕事ぶりや生活が丁寧に描かれているのは興味深い。少年テイトの存在が、救いとなっていて、ジョン・ダットンが孫をかわいがるおじいちゃんとしての一面を見せる場面にもほっとする。

◆シーズン1(ドラマの内容を書いています)
ダットン家の長男リーは、カウボーイとして牧場の維持管理をしているが、経営者としての自覚はいまひとつ、牛を巡るいざこざから先住民のロバート(モニカの兄)に殺されてしまう。
次男のジェイミーは、弁護士で父の役に立とうと頑張っているが、今一つジョンから認められず、次期司法長官選挙に出馬して、ジョンと対立することとなる。
長女のベスは、少女時代、落馬事故で母を亡くしたことがトラウマになっている。牧場を出て都会で投資ビジネスに辣腕を振るっていたが、父の手助けをするためイエローストーンに戻ってくる。
三男のケイシーは、父を嫌い、特殊部隊の兵士として戦地に赴いていたが、帰国して先住民のモニカと結婚し、息子のテイトとブロークンロック居留地で暮らしていた。が、居留地イエローストーン牧場との間の争いから妻子と別れ、牧場に戻ってジョンの後を継ぐ決心をする。
牧場は何人ものカウボーイを雇っている。カウボーイ頭のリップは、少年のころジョン・ダットンに拾われ、彼を慕い、時として非道な彼のやり方を受け入れ、牧場で生きてきた。Yの字をあしらったイエローストーン牧場の烙印は、牛だけでなく、カウボーイたちにも押されている。烙印のあるカウボーイは、臨時雇いのよそ者カウボーイとは一線を画し、牧場に守られるとともにそこから抜け出すことは難しくなっている。(烙印は、カウボーイだけでなく、ジョンの息子たちにも押されていることが、のちに明かされる。)

◆シーズン2,3
新たな敵ベック兄弟が登場、情け容赦ない攻撃にダットンが反撃する(シーズン2)、ジェンキンスに代わって遠大な開発計画を打ち出す大手開発業者が介入、イエローストン牧場は存亡の危機に立たされる(シーズン3)といった展開となっていく。状況が変わるにつれ、ジョン・ダットンとレインウォーターとの関係も変化していくのがおもしろい。

<シーズン1>
1.夜明け、2.口封じ、3.弔いの日、4.カウボーイの掟、5.重い絆、6.刻まれた記憶、7.敵か味方か、8.綻び、9.決別
<シーズン2>
1.遠雷、2.新たな始まり、3.無法者、4.悪魔の取引、5.命知らず、6.血の代償、7.オオカミの襲来、8.荒野の誓い、9.敵討ち、10.父から子へ
<シーズン3>
1.宿命の大地、2.大いなる野望、3.駆け引き、4.侵入者、5.罪なき死、6.絶望の果て、7.解かれた封印、8.殺すか殺されるか、9.悪より冷酷に、10.帝国の終わり

 

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