「ボーン・アルティメイタム」

「ボーン・アイデンティティ」「ボーン・スプレマシー」に続く、記憶喪失のエージェント、ジェイソン・ボーン(マット・ディモン)を主人公とするシリーズ第三作。「スプレマシー」は、「優位」「最高位」といった意だったが、「アルティメイタム」は「最後通牒」の意。ボーンは、自分が何者かを知るため、CIAの機密に迫り、彼を殺人者にしたてた計画の本拠地を目指す。
インドでボーンとマリーが襲撃されたときのことがイギリスの記者ロス(バディ・コンシダイン)によって新聞に掲載された。パリでマリーの兄に会っていたボーンは、ロスの情報源を知るため、ロンドンに飛ぶ。一方、ボーンを追うCIAのヴォーゼン捜査官(デヴィッド・ストラザーン)も新聞記事に目をつけ、ロスを監視していた。ウォータールー駅周辺の雑踏の中、CIAの監視に気づいたボーンは、相手の裏をかいてロスと接触し、彼と共に包囲網脱出を試みるが。
この人混みの中でのめまぐるしいせめぎ合いに始まり、マドリードでのニッキー捜査官(ジュリア・スタイルズ)との再会と脱出、モロッコでの刺客との闘い、そしてニューヨークのCIA本部周辺での攻防を経て、ついにトレッドストーン計画の関係者ハーシュ博士(アルバート・フィニー)との直接対決へ。ボーンは、圧倒的な情報力と組織力を誇る敵に、一人で立ち向かっていく。爆風で吹っ飛ばされても、駐車場の屋上から車ごと落ちても、起きあがる。携帯電話を駆使し、相手が思いもかけない場所に神出鬼没に出現し、臨機応変に状況に対応するやり口は、痛快の一言につきる。
ヴォーゼンのやり方に疑問を抱き、ボーン寄りになっていく捜査官パメラのFAXも、ニッキーの微笑みも、これまた痛快だ。

ボーン・アルティメイタム [DVD]

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