映画「SUPER8 スーパーエイト」を見る

SUPER8 スーパーエイト Super 8
2011年 アメリカ 111分
監督:J・J・エイブラムス
製作:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ジョー・ラム(ジョエル・コートニー)、アリス・デイナード(エル・ファニング)、ジャクソン・ラム(カイル・チャンドラー)、チャールズ・カズニック(ライリー・グリフィス)、ケイリー(ライアン・リー)、マーティン(ガブリエル・バッソ)、プレストン(ザック・ミルズ)、ルイス・デイナード(ロン・エルダード)、ネレク大佐(ノア・エメリッヒ)、ウッドワード先生(グリン・ターマン)、ドニー(デヴィッド・ギャラガー)


1979年のアメリカ、オハイオ州の田舎町。中学生の8ミリ映画製作グループが、ある夜、人気のない郊外の駅のホームで撮影をしているときに、とてつもなく激しい列車の脱線事故に遭遇する。
実はその列車は空軍の機密である「あるもの」を輸送中だった。脱線事故は、1台のトラックが列車に衝突したために起こったのだが、そのトラックを運転していたのは、中学校の生物の教師、ウッドワード先生だった。
事故以降、町では、人や犬が失踪したり、車のエンジンや家電が盗まれるなど、不可解な事件が続けざまに発生する。


やがて、空軍が町に乗り込んできて、町の中は騒然となる。
その騒ぎの中、中学生たちは、一貫して映画を撮り続ける。映画のクオリティを高めることに余念のない監督のチャールズは、脱線した貨車が多数横たわったままの事故現場の惨状を眼下に見下ろせる高台や、家宅捜査のため空軍兵士がさかんに行き交っているウッドワード先生の自宅の前で、ぬけぬけと撮影をする。
町の保安官補らは、軍が隠す事実を探ろうとするが、軍は山の火災を理由に住民達を強制的に避難させる。パニックに陥っていく町と、その中で「ゾンビ」映画の撮影を続ける中学生たちという対照が、なんとも愉快である。


映画製作グループのひとりジョーは、母を亡くしたことで傷つき、保安官補である父親ジャクソンとの関係がぎくしゃくしている。気になる女の子アリスが撮影に加わったことで映画製作に俄然やる気を出すのだった。

映画の冒頭、鉄工所の「無事故記録○○○日」という看板の3桁の数字が外され「0」に変えられたところから始まり、ジョーの母親の葬式へと移っていく、一連の導入が見事。
アリス役で、ダコダ・ファニングの妹、エル・ファニングが芸達者なところを見せている。
チャールズにセクシーなお姉さんを始め、やたらと兄弟が多いのも楽しい。
ラストは、少々ツメが甘いように感じた。ジョーたちが例のキューブを解放し、それであれが再現されることを期待したのだが、そうではなかったのがちょっと残念だった。


タイトルの「スーパー8」は、コダック社の8ミリフィルムの名称。1980年代、私がいた大学のシネ研でも、よくあれを使って自主映画を撮影した。黄色い真四角のパッケージや、現像に中2日、3日かかるとか、なつかしい。(フジが出している8ミリフィルムはシングル8といって、形状がちょっと違ってカセットテープに近いものだった。)
最後にクレジットタイトルの横で彼らがつくった8ミリのゾンビ映画が「上映」される。これもかなり楽しいのだが、そつがなさすぎるように感じた。事故で吹っ飛ぶ貨車がいきなり模型になったり、拳銃が落ちるカットや引き金を引くアップがとってつけたように挿入されたりするのはなかなか愉快なのだが、あまりフィルムぽくないというか、照明不足で画面が暗くなったり、露出がばらばらだったり、同時録音の際に雑音が入ったりなどいったことがなく、きれいだった。当時のアメリカの中学生はこれくらいの技術は持っていたと考えればいいのかしら。


台詞:「プロダクション・ヴァリューのことはもう言うな。空軍に殺されるぞ。」

言ったのは、ケイリー(ライアン・リー)。ケイリーは、爆弾好きの中学生。チャールズが監督する8ミリ映画にゾンビ役で出演もしている。
“production value”は、チャールズがすぐ口にする言葉で、日本語では、「クオリティが上がるぞ!」と訳されていた。映画の質を高めるための要素ということらしい。本物の空軍兵士が行き交う手前で、兵士に扮したジョーが刑事役の中学生と会話をするシーンを撮っているときも、チャールズはこの言葉を叫ぶ。あまりにどうどうと撮影していて、空軍の兵士達がいぶかり始めたので、あわてたケイリーがチャールズに言った台詞である。
原文は、“Stop talking about production value, the Air Force is going to kill us.”(Imdbより)

SUPER 8/スーパーエイト [DVD]

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