映画「宇宙兄弟」を見る

宇宙兄弟
2012年 日本(公開東宝) 129分
監督:森義隆
原作:小山宙哉宇宙兄弟
主題歌:コールドプレイ「ウォーターフォール〜一粒の涙は滝のごとく」
出演:南波六太(小栗旬、子ども時代:中野澪)、南波日々人(岡田将生、子ども時代:中島凱斗)、伊東せりか(麻生久美子)、古谷やすし(濱田岳)、溝口大和(新井浩文)、真壁ケンジ(井上芳雄)、福田直人(塩見三省)、星加正(堤真一)、鶴見徹太郎(吹越満)、権田原さくら(堀内敬子)、南波母(森下愛子)、南波父(増岡徹)、バズ・オルドリン(本人)


★ネタばれというか、ラストどうなるかについて書いてあります!


原作漫画は読んでいないのだが、小栗旬だし、宇宙だし、NASAだし、ということで見た。
南波六太(ムッタ)と日々人(ヒビト)の兄弟は、幼いころにUFOを目撃し、二人して宇宙飛行士になろうと約束をする。JAXA独立行政法人宇宙航空研究開発機構)に通い詰めていた2人は宇宙好きな兄弟として、JAXAのスタッフにも知られる存在となる。
それから19年、日々人は夢を追い続け、宇宙飛行士となってNASAのミッションに参加するまでになった。史上最年少、日本人として初めての月面ミッション・クルーということで、彼は一躍時の人となる。
一方、六太はカーデザイナーの仕事をしていたが自動車会社を解雇され、職探しの毎日を送っていた。ある日、JAXAから宇宙飛行士試験の書類選考合格通知が届く。日々人が六太が失業していると聞き、内緒で応募したのだ。弟に大きな遅れをとっていた兄は、忘れていた夢の実現のため、一念発起して宇宙を目指す。
JAXAの全面協力やNASAケネディ宇宙センターにおける大型ロケにより、宇宙関連施設の内部や宇宙飛行士の試験の様子などが見られて楽しい。CGによる月面や月面から見た地球の映像も美しい。
小栗旬は好きだが、映画「岳」やテレビドラマなどを見ていると、さわやかな役よりは多少皮肉屋っぽい役の方が合っている印象があるのでムッタ役はどうなんだろうと思ったのだが、弟に引け目を感じているという事情があり、またもじゃもじゃ頭の三枚目といった要素が、男前な部分といい感じで混じり合っていたと思う。
宇宙飛行士になるための試験もたいへん興味深かったし、狭い空間で共同生活を強いられる他の受験者の面々もそれぞれいい味を出していたと思う。
ただし、話全体としてみると、どうにもゆるい感じは否めなかった。
ラストは、ざざざっとダイジェストになって、宇宙好きの兄弟は二人揃って本物の宇宙飛行士になりました、ということで終わる。タイトルにふさわしく、宇宙服を着た兄と弟が肩を並べる絵は必須だったのかもしれないが、うまくいきすぎて、逆に居心地の悪さを感じないでもなかった。
それよりは、月面で遭難した日々人の救出劇をもっと克明に描いて、宇宙飛行士と言う仕事の過酷さと、救助を試みる管制室の人々の奮闘ぶりなどを伝えてほしかった気がする。
日々人の打ち上げの際、六太にロケットの動力源について語る老人がよかった。月面を歩いた男だと言ったことから、アームストロング船長かそのチームの人なんだなと思って見ていたのだが、なんと、バズ・オルドリン大佐その人だったということを、後からHPを見て知った。彼は、1969年、アポロ11号の乗組員としてニール・アームストロング船長についで2番目に月に降り立った男である。何度も出てくる実写記録の月面の足跡は彼のものらしい。日々人の打ち上げを複雑な気持ちで見つめる六太に対し、大佐は、ロケットを飛ばす動力源は関わっている多くの人々の情熱や様々な思いであり、君のそのもやもやした複雑な気持ちも、ちょっとだけロケットを飛ばす役に立っているのだ、と語るのだった。

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