映画「クワイエット・プレイス」をあまり静かでないところで見る

クワイエット・プレイス  A QUIET PLACE
2018年 アメリカ 90分
監督:ジョン・クラシンスキー
出演:リー(エミリー・ブラント)、エヴリン(ジョン・クラシンスキー)、リーガン(ミリセント・シモンズ)、マーカス(ノア・ジュープ)

★映画の内容(筋)に触れています!★

海外旅行の際に飛行機の中で見た。音を立ててはいけない、静かな環境で見るべき映画なのに、飛行機のエンジン音や人の話し声が常に聞こえてくる中での鑑賞となったうえ、気が滅入るような設定に途中でやめようかと思ったのだが、新作だしせっかくだからと思って見続けていたら後半はどんどん緊迫感が高まってきて、最後まで見てしまった。
以前見てかなり好きだった能天気なアメリカの田舎怪物映画「トレマーズ」のシリアス家族愛ヴァージョンといった感じか。
音を立てるとすぐさまそれに反応して襲ってくる凶暴な怪物の出現により荒廃したアメリカの町。どうやら世界規模の災難らしいのだが、怪物がなんなのか、なんでこんなことになったのかといった説明は一切なく、物語は、孤立した田舎の一軒家で怪物に怯えながら極力音を立てずに暮らす若い家族の受難の日々を描いていく。
一家は、父親のエヴリン、母親のリー、長女のリーガン、長男のマーカス。手話とささやき声でのみ言葉を交わす家族のやりとりは、見ていてなんとも息苦しい。
エヴリンは、地下室に通信機を置きSOSを発信しているが、助けが来る気配はない。リーガンは、幼い弟のボーを亡くしたことでエヴリンとの関係がちょっとぎくしゃくしている。マーカスは、か弱そうな少年でいつも怯えている。そしてリーは、あろうことかこの状況下で妊娠して臨月を迎えつつある。
ある夜、家の外でリーガンとマーカスが怪物に襲われ、エヴリンが救出に向かう。同じころ、リーは家の中で破水し、侵入してきた怪物の目をかいくぐって独りで出産に挑む。
いろいろ無理があるように思える部分もあり、特に赤ん坊は生まれ出た瞬間産声をあげるという誰もが知っている事実を前になんでこんな中で妊娠するかなと突っ込みたくもなるが(この災難の前にすでに妊娠していたということなのか)、恐ろしく危険な事態である出産を迎え彼女は一体どうするのか?という展開にぐいぐい引っ張られてしまった。
怪物の弱点が、昔のSF映画っぽくてよい。
エヴリンは、リーに子どもたちを守るよう強く依頼されたわけだが、これからも家族を守っていかなきゃならないのだから捨て身にならずにもうちょっと違う方法が取れなかったのかと悔やまれる。