映画「ドライヴ」を見る

ドライヴ DRIVE
2011年 アメリカ 100分
監督: ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:キッド/ドライバー(ライアン・ゴズリング)、アイリーン(キャリー・マリガン)、ベニシオ(ケイデン・レオス)、シャノン(ブライアン・クランストン)、スタンダード・ガブリエル(オスカー・アイザック)、バーニー・ローズ(アルバート・ブルックス)、ニーノ(ロン・パールマン)、クック(ジェームズ・ビベリ)、ブランチ(クリスティナ・ヘンドリックス
自動車修理工として働く男キッド(名前と言うより呼び名。クレジットは、ただの「ドライバー」となっている)は、卓越した運転技術を活かし、ハリウッド映画のカー・アクション・シーンのスタントをする一方、「逃し屋」という裏稼業にも手を染めていた。逃走用の車を用意し、警察の追跡を振り払って、犯人らを逃す仕事である。
★以下ネタばれあり!!
彼は、アパートの隣人である母子、アイリーンとベルシオと知り合い、アイリーンに心を惹かれていく。が、彼女には服役中の夫スタンダードがいて、やがて彼は出所してくる。服役中に囚人仲間に借金をした彼は、出所するや否や借金返済のため仲間が計画した強盗に実行犯として加わるよう強要される。事情を知ったキッドは、一味に逃し屋を申し出る。が、この強奪計画には裏があった。盗んだ金は、聞いていたよりもずっと高額で、地元に侵出をもくろむマフィアのものだった。強奪計画は彼らの侵出を歓迎しない地元のギャングのボス、ニーノが仕組んだものだったのだ。巨額の金を抱えたキッドは、マフィアに命を狙われるはめに陥る。
冒頭の請負逃走シーンは、たいへんおもしろくわくわくするので、カーチェイスがばんばん出てくる痛快なアクション映画かと思っていたら、その後の展開はそうでもなく、全体の印象としては、物静かな犯罪映画という感じだった。キッドは無口でほとんどしゃべらない。長いセリフは、依頼人にする仕事の説明くらいだ。
おだやかに愛する人をみつめていた男が、後半、爆発的な暴力を駆使する。シャイな青年の叶わぬ恋の映画といった描写が続いて若干かったるかった空気が一転、一人の男が、犯罪のプロに立ち向かう、男気と切なさに満ちたバイオレンス映画と化す。
アイリーンとアパートのエレベーターに乗ったときに、刺客の男と乗り合わせるシーンがいい。男が拳銃を所持していることに気付いたキッドは、とっさにアイリーンにキスをし、男と彼女の間に入りこみ、キスが終わると、男を襲う。アイリーンの眼の前で、男を容赦なく攻撃する。愛する人と結ばれるよりも彼女を守ることに徹する決意をした瞬間である。ぐっとくる。


<セリフ>「銃は持たない。運転をする。」
キッドがアイリーンの夫の犯罪に協力することに決め、強奪計画の一味に対して自分の仕事内容を説明したときに、言ったセリフ。「何があっても5分待つ。それ以上は待たない。」という説明のあとに続く。
原文は、”I don't carry a gun. I drive.”(Imdbより)