映画「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」を見る

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
2012年 日本(公開 東宝) 126分
監督:本広克行
脚本:君塚良一
出演:青島俊作織田裕二)、恩田すみれ(深津絵里)、和久伸次郎(伊藤敦史)、室井慎次柳葉敏郎)、鳥飼誠一(小栗旬)、魚住二郎(佐戸井けん太)、篠原夏美内田有紀)、緒方薫(甲本雅裕)、栗山孝治(川野直輝)、王明才(滝藤賢一)、中西修小林すすむ)、森下孝治(遠山俊也)、真下正義署長(ユースケ・サンタマリア)、真下雪乃(水野美紀)、袴田副署長(小野武彦)、神田元署長(指導員。北村聡一朗)、秋山元副署長(指導員。斉藤暁)、小池茂(小泉孝太郎)、沖田(真矢みき)、新城(筧利夫)、横山(警視庁警備局公安課長。大杉蓮)、久瀬警部(香取慎吾


☆多少ねたばれあり☆
シリーズ第4弾にしてファイナル。
湾岸署管内で、誘拐・殺人事件が発生。白昼、大勢の人々が見る中で拳銃を持った犯人に男が連れ去られ、数時間後に射殺死体となって発見される。犯行に使われた拳銃は、過去の事件の証拠品として警察に押収され、保管されていたものだった。記録から、拳銃を持ち出したのは本庁の警部であることが判明するが、警官の関与を隠したい上層部はそのことを伏せ、本庁の捜査員だけで捜査を進める方針を出したため、湾岸署署員はカヤの外におかれる。
上層部は、犯人をでっちあげることにし窃盗歴のある男を逮捕させるが、その後で第二の殺人事件が発生、さらに、湾岸署署長真下の息子が誘拐される。
一連の事件の影には、6年前の少女誘拐殺人事件があった。殺された二人は、無罪となった主犯の男と警察の手を逃れた共犯者であることが判明する。事件当時、交渉課の小池が犯人との交渉を進めていたが、警察の捜査の規則により、もう一歩のところで交渉は打ち切られた。捜査は一課の手に渡り、その結果、少女は死体となって発見されたのだった。交渉の打ち切りは上層部からの指令であり、それを決断したのは当時小池の上司だった真下である。
例によって、警察上層部の汚点隠しに所轄がいいように振り回されるが、今回は、それどころではすまず、青島と室井がスケープゴートして辞職に追い込まれる事態となる。
第3作がいまひとつだったので、ファイナルに期待したのだが、残念ながら、あまりわくわくしなかった。
けっこうな時間を割いている、悪の組織の秘密基地のような警察上層部の会議はパターン化していて、悪巧みも直接的すぎて、おもしろみがない。
6年前の事件との絡みが徐々に明かされていくのはいいが、上層部のシーンでも真相が小出しにされるので、捜査によってひとつひとつ事実が暴かれていくという感じではない。
犯人のいどころを追うクライマックスも、6年前の事件で犯人が行ったのと同様の場所を捜すという相当大雑把な手がかりを漠然とたどるので、青島が走り回って、たまたまスカイツリーが見える場所に来ました、という感じ。バスが突っ込んでくるのにも無理がある。
1作目、2作目、「交渉人真下正義」あたりまで感じられた、刑事たちの捜査によって事件が解明されていくわくわく感、本シリーズに期待して当然の謎解きやサスペンスによるどきどきはらはら感がない。音楽ががんがん鳴り響くだけで、捜査線が踊っているとは思えなかった。
ファイナルなので、シリーズをずっと見てきた者には、いろいろ懐かしいものもあると思うのだが、人気シリーズのファイナルなんだから、もうちょっと緻密なものにできなかったのか。残念だ。
間違って買ってしまった大量のビール隠し騒動は可笑しかったし、香取真吾の陰気な警部は、意外なキャスティングが新鮮だった。