映画「ラン・オールナイト」の感想

ラン・オールナイト RUN ALL NIGHT
2015年 アメリカ 114分
監督:ジャウマ・コレット=セラ
脚本:ブラッド・イングルスビー
出演:ジミー・コンロン(リーアム・ニーソン)、マイク・コンロン(ジョエル・キナマン)、ショーン・マグワイアエド・ハリス)、ダニー・マグワイア(ボイド・ホルブッグ)、パット・マレン(ショーンの片腕。ブルース・マッギル)、プライス(コモン)、ジョン・ハーディング刑事(ヴィンセント・ドノフリオ)、レッグス(オーブリー・ジョセフ)、ガブリエラ・コンロン(ジェネシス・ロドリゲス)、エディ・コンロン(ジミーの兄。ニック・ノルティ

★内容についての言及多数あり!

「96時間」で娘を誘拐した悪者たちをやっつける元凄腕捜査官を演じたリーアム・ニーソンが、息子を守るため仲間のギャングをやっつける元凄腕殺し屋を演じるハード・アクション。
初老の男ジミーは、家族と離れ、落ちぶれて飲んだくれる日々を送っていた。マフィアのボスの息子ダニーはジミーを見下しているが、ボスのショーンはジミーを大事に思っていた。ジミーは、憧れの存在であるショーンのために汚れ仕事を請け負い、かつて多くの人間を手にかけた殺し屋だったのだ。
ある日、ジミーを毛嫌いしている息子のマイクが、偶然ダニーの殺人現場を目撃してしまう。ダニーはマイクを殺そうとし、それを知ったジミーはマイクを救うためダニーを殺す。ジミーとダニーは、警察と、ショーンの手下や彼が雇った殺し屋から追われる身となる。
ジミーは、当初はボスであり自分の唯一の理解者であるショーンの気持ちを汲んで説得にあたるが、ショーンは、歴然とダニーが悪いとわかってはいても、自分の息子が死んだのにジミーの息子が生きていることが許せない、ボスであり親である男ならではの理不尽さでもって、マイクを殺した後でジミーを殺すと言い張る。二人が馴染みのレストランのテーブルにつき、向き合って、この不穏な会話を静かに交わすところはいい。
やがて、ショーンは、クールな殺し屋プライスをジミーとマイクに差し向ける。ショーンの気持ちが変わらないと知ったジミーは反旗を翻す。電話で宣戦布告を聞いたショーンが部下たちに「ジミーが来る」と通達を出し瞬く間に警戒体制を敷くのもいいが、ジミーがそこに単身で殴り込み、瞬く間に敵を倒してショーンを追い詰めていくのもいい。
他もいろいろいちいちいい。
追手とトイレで格闘しているジミーを置いて地下鉄で一人逃れようとするマイクが、相手を倒してホームにやってきたジミーを見かけ、ドアが閉まる寸前にジミーの名を呼ぶところがいい。
ジミーが逃走中、テレビで放映されていたホッケーだかフットボールだかの試合が終わり、会場からぞろぞろと人が出てくる中、試合の半券を拾って忘れ物をしたふりをしてスタジウム内に逃れるというアイデアがいい。
ジミーが、マイケルに「引き金を引くな。」と言って、銃を撃たせないのがいい。
ショーンに買収されている警官が多くいる中、ジミーを目の仇にするハーディング刑事が実はまっとうな警官だというのはありがちな設定だが、ジミーが彼との約束を守って、殺した人間のリストを残すのがいい。
最後に、負傷したジミーがプライスを迎え撃つ際に、山小屋の本棚の裏に隠しておいたライフルを取りだすのだが、これが西部劇でお馴染みの銃ウィンチェスターである。林のなかで、ウィンチェスターに最後の弾丸を込め、杖代わりにして立ちあがり、レバーアクションの操作をして(早くてよくわからないが)、撃つ。これもいい。
エンディング、目撃者の少年レッグスの話で、ハーディング刑事がマイクがまっとうな人間であることを知るのもいい。
というふうに、話自体はあまり新鮮味がないのだが、いろいろ行き届いていてぶれるところのない、良質のアクション映画だと思った。