「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」を見る(感想)

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 TRUMBO
2015年 アメリカ 124分
監督:ジェイ・ローチ
原作:ブルース・クック「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」
出演:ダルトン・トランボブライアン・クランストン)、アーレン・ハード(ルイス・C・K)、イアン・マクレラン・ハンター(アラン・テュディック)、クレオ・トランボ(ダイアン・レイン)、二コラ・トランボ(エル・ファニングほか)、クリス・トランボ(ミッチェル・サコックスほか)、ミッツィ・トランボ(メーガン・ウルフほか)、ジョン・ウェイン(デヴィッド・ジェームズ・エリオット)、ヘッダ・ホッパー(ヘレン・ミレン)、サム・ウッドジョン・ゲッツ)、ロイ・ブリューワー(ダン・バッケダール)、エドワード・ロビンソン(マイケル・スタールバーグ)、バディ・ロス(ロジャー・バート)、ルイス・B・メイヤー(リチャード・ボートナウ)、フランク・キング(ジョン・グッドマン)、ハイミー・キング(スティーブン・ルート)、カーク・ダグラス(ディーン・オゴーマン)、オットー・プレミンジャークリスチャン・ベルケル

冷戦時代のアメリカ。共産主義者ということでハリウッドで赤狩りの標的にされた脚本家ダルトン・トランボの苦難の日々を描く。
彼は、公聴会で証言を拒否したために議会侮辱罪で実刑判決を受け収監される。ブラックリストに載り、出所してからも仕事を干されるという憂き目に遭うが、偽名で脚本を書き続け、やがて表舞台に返り咲くのであった。
映画は1940〜50年代の赤狩りの時代に的を絞っているので、トランボは既に有名な脚本家となっているところから始まり、「ジョニーは戦場へ行った」の脚本を手掛ける前で終わる。青少年時代とか妻との出会いとかも一切描かれず、潔い。
トランボは、ひたすら脚本を書き続ける。左右の人差し指でタイプライターのキーを打ち、風呂場で湯に浸かりながら原稿を切り貼りする(この切り貼りが、小説家でなくて脚本家たるところなのだななどと思った)。受難者としての苦労はあっても、クリエイターとしてスランプに陥るなどの苦悩は描かれていないので、いくらでも書ける人という感じである。
映画ファンにとっては、「ローマの休日」「スパルタカス」他数々の映画のシーンや、名の知れた監督やスターが登場するのがうれしい。
主人公がトランボなので、非米活動委員会始め体制側は敵、圧力に屈した業界人は裏切り者、共産主義者やトランボに協力するものは味方である。
元女優でコラムニストのヘッダ・ホッパーは憎々しい敵として一身に恨みを買う役回りだが、ハリウッドで身を立てるために業界の男たちに数々の屈辱を味わわされてきた恨みをここぞとばかりに晴らしているのではないかと思わせるところもある。
ジョン・ウェインは敵で、演ずる俳優がなんとなくその感じはあるがあまり似ていず、なんだか小物っぽいので、トランボが彼にくってかかるシーンでも国民的大スターにこんなこと言っちゃうなんてすごく度胸がある男だという感じがいまいち伝わらないように思った。
カーク・ダグラスは、よく似ていると評判である。たしかにジョン・ウェインより似ていると思うが、少々甘目で精悍さや鋭さに欠けると感じた。でも、それまで気が強い女の子として描かれてきたトランボの長女二コラや、レストランで彼を見つけた若い娘たちが憧れのまなざしで彼を見るのは、さすがスターという感じでよかった。
オットー・プレミンジャー監督と、ひたすら大衆娯楽映画づくりにいそしむキング・ブラザースが出てくるところは、愉快で楽しかった。

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 [DVD]

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以下は、トランボ脚本作品から。「ローマの休日」(1953)、「黒い牡牛」(1956)、「スパルタカス」(1960)、「ジョニーは戦場へ行った」(1971)、「パピヨン」(1973)

ローマの休日 日本語字幕版 オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック FRT-096 [DVD]

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Brave One [DVD] [Import] (1956)

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ジョニーは戦場へ行った [DVD]

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パピヨン-製作30周年記念特別版- [DVD]

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