映画「ジェーン」を見る(感想)

ジェーン JANE GOT A GUN
2016年 アメリカ 98分
監督:ギャヴィン・オコナー
出演:ジェーン・ハモンドナタリー・ポートマン)、ダン・フロスト(ジョエル・エドガートン)、ビル・ハモンドノア・エメリッヒ)、ジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)、ヴィック・ビショップ(ボイド・ホルブルック)、フィッチャム(ロドリゴ・サントロ)、メアリ(パイパー・シート)

★あらすじバラしています★

1871年アメリカ西部を舞台にしたナタリー・ポートマン主演の西部劇。
ジェーンは、幼い娘と夫のハム(ハモンド)とともに暮らしていたが、ある日、ハムは銃撃を受け瀕死の重傷を負って帰宅する。ハムは、かつてのボス、一帯を牛耳るジョン・ビショップの手下たちと争いになり、相手を倒したものの自分も撃たれてしまったのだ。仲間を殺されたビショップは、追っ手を差し向けてくる。ジェーンは、娘を知人宅に預け、南北戦争の英雄で元恋人のダン・フロストに助けを求める。ダンは、最初は彼女をつけ放すが、やがて手を貸すこととなる。ジェーンとダンとハムは、荒野の真ん中に立つ家で、ビショップ一味を迎え撃つ。
愛する夫と娘を守るため、ヒロインは銃をとった、という謳い文句となっている。が、娘の出番はほとんどなく、家族ものというよりは、一人の女と二人の男の恋愛ドラマといった感じである。
ジェーンは婚約者だったダンの子を身ごもっていたが、ダンは南北戦争に出征して終戦後3年が過ぎても戻ってこなかった。彼は死んだものと思ったジェーンは、幼い娘を連れ、新天地を目指して西部に向かうが、旅の途中でビショップの世話になったことから、彼に目をつけられる。娼館に追いやられるところを、彼女を好きになったハムによって救出される。が、娘はビショップの手下の不注意から川で溺れ死んだと知らされる。ハムとジェーンはビショップ一味から逃げ、荒野に家を建てて暮らし始め、やがて2人の間に娘のメアリが生まれた。一方、南軍の捕虜になっていたダンはそんな事情も知らず、自分を裏切ったジェーンを恨んでいたのだった。
3人の男女の関係が丁寧に描かれている。通常の西部劇であれば、ハムかダンが主役となるところを、ジェーンが主役になっているため、女性目線なのが興味深い。負傷する夫を守るため、昔の恋人(嫌いになって別れたのでなく、好き合っているのに離れ離れになってしまったというのが大事)とともに戦う、大変な状況ではあるが、ある意味女冥利につきる話だとも言える。ジェーンだけでなく、ダンの側からの描写もけっこうあって演じるエドガートンがなかなかいいのだが、ハムについてはほぼジェーンの説明だけにとどまっているので彼自身が語るのをもっと聞きたかった気がする。
ビショップらを迎え撃つ直前の夕暮れ、家の前でジェーンとダンが話をする。いいシーンなのに、画面が暗すぎると思ってみていたら、クライマックスの銃撃戦は夜なのでさらに暗かった。
ダンのしかけた爆弾が爆発し、多くの敵を一気にやっつける際に炎が燃え上がり、生き残った敵との銃撃戦では、家の壁のふし穴ごしに銃撃の火花が散るのが闇の中に浮かび上がる。それはそれで見せるのだが、ほぼ音と炎で表される銃撃戦の様子は観念的というか、私としてはあまりしっくりこなかった。ビショップが家の中に入ってきてからのやりとりも、いたって凡庸である。
最後はめでたしめでたし。でも、もうちょっとなんかほしかったという思いは残る。