「人生を豊かにするための50の言葉」田中雄二著(2010年)

古今の洋画から、心に残る台詞を50選出し、解説を加えたもの。
著者は、毎日新聞社の「淀川長治の証言」シリーズや、共同通信社の映画雑誌MOVIE(廃刊)や「外国映画女優名鑑」「外国映画男優名鑑」などを手がけた生粋の映画好き。
風と共に去りぬ」「ある愛の詩」に出てくる有名な台詞を始め、新しいところでは「グラン・トリノ」でイーストウッドが語る工具についての一節なども取り上げられている。
言葉とは、前後の文脈の中で理解されるものであって、一部だけを取り出してそのよさを説明するのはなかなか難しいと思うのだが、それでもたった1行、多くても4行の言葉で「いいね」と思わせるのは、それが作り手たちが練りに練って生み出した努力の結晶であり、また、選ぶ側も相当苦労して絞り込んだものであるからと思われる。
「この世に完全な人間はいないさ」と言った台詞が、シリアスな場面でなく、コメディの中でさらっと出てくるあたりが、ハリウッド映画のよさだと改めて思わせてくれる。
装丁など若い女性向けにということらしいが、字が大きくて読みやすいので、オールド・ファンの方々に手にとってもらえば、往年の名画を懐かしむとともに、新しい映画にも興味を抱くきっかけになるのではと思う。(アマゾンのレビューと同じ内容を載せてます。)

人生を豊かにするための50の言葉

人生を豊かにするための50の言葉