本・マンガ

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」の本を読んで映画を見る(感想)

「キラー・オブ・ザ・フラワームーン」の感想<本>花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生Killers of the Flower Moon The Osage Murders and the Birth of the FBIデイヴィッド・グラン著(2017)倉田真木訳 早川書房(2018)<映画>キラー…

「ザリガニの鳴くところ」を読む(感想)

ザリガニの鳴くところ Where the Craawdads Sing ディーリア・オーエンズ(2018)友廣純訳 早川書房(2020)当時人物:カイア(キャサリン・ダニエル・クラーク)ジェイク(父)、マリア(母)、ジョディ(兄)、ミッシー(姉)、マーフィ(長兄)、マンディ…

台湾ハードボイルド「台北プライベートアイ」を読む(感想)

台北プライベートアイ 私家偵探 Private Eyes紀 蔚然(きうつぜん チ・ウェイジャン)著(2011)松山むつみ訳文芸春秋(2021) 台北を舞台にしたハードボイルド。 大学教授で劇作家だった50代の男、呉誠(ウー・チェン)は、ある出来事をきっかけに突如引退…

「熱源」を読む(感想)

熱源川越宗一著(2019年)文芸春秋第162回直木賞受賞作。樺太(サハリン)を舞台に、1880年代後半から日露戦争開戦による日本軍の島への侵攻を経てその後にいたる時代を背景に、樺太生まれのアイヌ、ヤヨマネクフ(日本名山辺安之助)と、ロシアの流刑囚ブロ…

「ロスジェネの逆襲」を読む

7年ぶりに始まったドラマ「半沢直樹」の原作のひとつ。 読んだのは2013年、シリーズ一回目が放映されていたころですが、ドラマを見ていると、小説の内容を思い出します。当時は「ロスジェネ」という言葉がよく使われていました。 ロスジェネの逆襲池井戸潤著…

「屍人荘の殺人」を読む(感想) 

屍人荘の殺人 今村昌弘著(2017) 東京創元社 映画化に当たって、2018年8月に書いた感想をアップしました。 ★注意! 犯人のネタバレはしていませんが、特異な設定や事件の状況についての説明はしています。 山奥や孤島の館に人が集まって、嵐や大雪などで交…

話題の中国SF「三体」を読む(感想)

三体 劉 慈欣著 (リウ・ツーシン りゅうじきん) (2008) 監修:立原透耶 翻訳:大森望、光吉さくら、ワン・チャイ 早川書房(2019) (キンドル版購入)※末尾に登場人物一覧あり ★注意! 物語の内容に触れています。「三体」を読んでいろいろ驚きたい人は…

電脳小説「ヒッキーヒッキーシェイク」を読む(感想)

ヒッキーヒッキーシェイク 津原泰水著(2016年)ハヤカワ文庫(2019年) ★ネタバレしてます★ (10/28 一部更新) アマゾンでお勧めされて衝動買い。文庫化に当たって出版社側といざこざがあったらしいけど、それは置いておく。不思議なテイストの小説。 ひきこ…

「拳銃使いの娘」を読む(感想)

拳銃使いの娘 SHE RIDES SHOTGUNジョーダン・ハーパー著鈴木恵訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2019) ★ネタバレあり! 注意!!★ 邦題がいい。原題も意味がわかるといい。"ride shotgun"は、本書の解説によるとアメリカの俗語で「助手席に乗る」という意…

「テンプル騎士団」(佐藤賢一著)を読む(感想)

テンプル騎士団 佐藤賢一著(2018年) 集英社新書テンプル騎士団という名は、いろいろな映画や小説にちらほらと出てくるらしい。著者は、映画「スター・ウォーズ」のジェダイの騎士を、テンプル騎士団と重ね合わせる。(私は、ハメットの小説「マルタの鷹」…

「狂うひと――『死の棘』の妻・島尾ミホ」を読む(感想)

「狂うひと――『死の棘』の妻・島尾ミホ」 梯久美子(かけはしくみこ)著(2016年) 新潮社 (※敬称略) 島尾敏雄作の有名な小説「死の棘」(1977年・昭和52年新潮社より刊行)は、夫の浮気を知って狂気に走る妻と、誓いにより以後は妻に付き従う夫の姿を描い…

「流しの公務員の冒険 霞が関から現場への旅」を読む(感想)

流しの公務員の冒険 霞が関から現場への旅 山田朝夫著(2016年) 時事通信社 (※以下の感想文は、アマゾンのレビューにも短縮して書いてます。)地方自治体での現場の仕事に惹かれ、霞が関を出た元キャリア官僚の仕事談。 著者の山田氏は、東京大学を出て、1…

「仁義なき戦い」活字版のようなハードボイルド小説「孤狼の血」を読む(感想)

孤狼の血 柚月裕子(ゆづきゆうこ)著(2015) 角川書店★ネタバレ多少ありますので注意★ ラストのせりふばらしは白字にしてあるので、PCではドラッグすると読めますが、すみませんが、スマホでは読めないみたいです。新聞広告で見かけ、黒川博行氏が評価してい…

中国戦国まんが「キングダム」(1〜40巻)を読む(感想)

・古代中国戦国まんが「キングダム」の40巻を読みました。第1巻をネットの無料配信で読んで、まんまと網にかかった読者でございます。キングダム 原泰久著(2006〜) 集英社 ヤングジャンプコミックス 春秋戦国時代の中国を舞台に繰り広げられる壮大な戦国…

ウエスタン・ミステリ「荒野のホームズ」を読む(感想)

荒野のホームズ HOLMES ON THE RANGE スティーブ・ホッケンスミス著(2006年) 日暮雅通訳 ハヤカワ・ポケット・ミステリ(2008年)★若干のネタバレあり★「西部にいたら避けられないものが、二つある。砂ぼこりと死だ。」 という出だしから軽快な西部劇を思わ…

小説「スナイパーの誇り」を読む

スナイパーの誇り Sniper’s Honor スティーヴン・ハンター著(2014) 公手成幸訳 扶桑社ミステリー文庫(上・下)(2015)★ネタバレあり!!第二次世界大戦中、ソ連赤軍に「白い魔女」と呼ばれる女狙撃手がいた。リュドミラ(ミリ)・ペトロワというその名は、…

高齢者ハードボイルド「もう年はとれない」を読む

もう年はとれない Don’t Ever Got Old ダニエル・フリードマン著(2012) 野口百合子訳 創元推理文庫(2014)★ネタバレあり!!★87歳(途中で88歳になる)の元刑事が、孫とともに元ナチス将校が持ち逃げした金塊の行方を追う、後期高齢者宝探し冒険ハードボイル…

話題のフレンチ・ミステリ「その女アレックス」を読む

その女アレックス ALEX ピエール・ルメートル著(2011年) 橘明美訳 文春文庫(2014年) ★ダイレクトではないけれど、なんとなくわかってしまうかもしれない感じでネタばれあり★ 「週刊文春2014年ミステリーベスト10」などで1位を獲得した、話題のフレ…

不思議なテイストの西部文学「シスターズ・ブラザーズ」を読む

シスターズ・ブラザーズ THE SISTERS BROTHERS パトリック・デウィット著(2011年) 茂木健訳 東京創元社(2013年)★もろにネタばれしてます。悲惨な場面についても言及しています。1851年のアメリカ西部。殺し屋シスターズ・ブラザーズとして知られるチャー…

「55歳からのハローライフ」を読む

NHKでドラマ化されたので、以前書いた原作についての文を載せてみた。 ●55歳からのハローライフ 村上龍著(2012年) 幻冬舎 様々な環境にある50代後半から60歳くらいの年代の男女が、家族や友人との関わりを中心に、これまでの人生とこれからの人生に思い…

「第三の銃弾」(スティーヴン・ハンター著)を読む

第三の銃弾 The Third Bullet スティーブン・ハンター著(2013年) 公手成幸訳 扶桑社ミステリー 文庫上・下(2013年) ★ネタばれあり!!!★1963年11月22日、テキサス州ダラスにおいてパレード中のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディが暗殺された。狙撃犯とし…

幕末ハードボイルド小説「コルトM1851残月」を読む

コルトM1851残月 月村了衛著(2013年) 講談社 ★ネタばれあります!!嘉永六年(1853年)。 江戸の商人郎次(通称残月)は、表向きは廻船問屋の番頭だが、実は江戸の裏社会を仕切る札差祝屋の親分儀平に仕えていた。自身で苦労して切り開いたルートにより…

「『弱くても勝てます』:開成高校野球部のセオリー」を読む

二宮和也くん主演でドラマ化される(土曜日9時)にあたって、以前読んだ原作本の感想を載せました。 ルポなので、そんなに劇的な展開はないですが、そこがいいと思います。高校生達の理屈っぽい受け答えが楽しいです。 ドラマでは、いろいろおもしろくおか…

小説「永遠の0」を読んでから、映画「永遠の0」を見る

永遠の0 2013年 日本(公開 東宝) 144分 監督・脚本・VFX:山崎貴 原作:百田尚樹「永遠の0」 主題歌:サザンオールスターズ「螢」 出演:宮部久蔵(岡田准一)、佐伯健太郎(三浦春馬)、佐伯慶子(吹石一恵)、清子(風吹ジュン)、松乃(井上真央)…

「泣き虫弱虫諸葛孔明」ほかの三国志本を読む

秋の夜長は読書とブログ。ということで、「泣き虫弱虫諸葛孔明」と、これまで読んだ三国志関連の本をまとめてみました。 三国志は、何回読んでも膨大な登場人物をなかなか把握することができません。合戦や人の名がすぐ出てくるコアなファンではなく、読むた…

「天気と気象についてわかっていることいないこと」を読む

天気と気象についてわかっていることいないこと 筆保弘徳、芳村圭編著 稲津將、吉野純、加藤輝之、茂木耕作、三好健正著 2013年 ベレ出版 第1章 温帯低気圧の研究 稲津將 第2章 台風の研究 筆保弘徳 第3章 竜巻の研究 吉野純 第4章 集中豪雨の研究 加藤…

「iPS細胞 世紀の発見が医療を変える」を読む

2008年9月に書いた感想文。文系の頭でなんとか中身をまとめようとしたんですが、あんまりうまくいかなかったように思います。山中教授ノーベル賞受賞に乗じてアップしてみました。 ES細胞やiPS細胞について、いろいろ説明してくれているのだけど、この…

「猫背の虎 動乱始末」を読む

猫背の虎 動乱始末 真保裕一著(2012年) 集英社 ★ねたばれあり!!★ 1855年(安政2年)に発生した安政の大地震直後の江戸を舞台に、大柄で猫背の新米同心、太田虎之助の活躍を描く。 地震直後で江戸市中は混乱し、人手不足の奉行所は、虎之助を臨時の市中見り…

競馬シリーズ・シッド・ハレーもの4作「大穴」「利腕」「敵手」「再起」を読む

特にきっかけがあったわけではないのだが、ずうっと本棚に置きっぱなしにしていたディック・フランシスの競馬シリーズ再開第1作「再起」を読もうと思い立った。 そうしたら、どうせなら、まだ未読のシッド・ハレーもの第1作も読んでみようかと思い、結局シ…

「小説家・逢坂剛」に触発されて、ハメットの「マルタの鷹」と「ガラスの鍵」を読み返し、時を得た勢いで『マルタの鷹』講義」にも挑戦する

●小説家・逢坂剛 逢坂剛著(2012年) 東京堂出版 逢坂剛氏のエッセイ集「小説家・逢坂剛」を読んだ。 最後の「硝煙の中の男たち」(かっこいい見出しだ!)という西部劇についての章を目当てに購入した。俳優ごとに西部劇映画について語ってくれているのは今時…