本・マンガ

江戸川乱歩の「探偵小説の『謎』」を読む

探偵小説の「謎」 江戸川乱歩著(1956年) 社会思想社(現代教養文庫) ブックオフでみつけた。定価240円のものを400円で売っていたが、「希少本」というシールが貼ってあったので、つい買ってしまった。 江戸川乱歩による探偵小説の解説本。一人二役の犯人や…

町おこし小説「海獣ダンス」を読む

海獣ダンス 山本甲士著(2012年) 小学館文庫 干潟のある小さな町で起こった町おこしプロジェクトを巡る物語。 長崎県との県境にある佐賀県のひなた町(架空の町であるが、諫早とかあのあたりっぽい)では、干潟の沖にちょくちょく姿を現す謎の水生生物のこと…

「ドラゴン・タトゥーの女」原作を読んで映画2本を見た

ベストセラーとなったスウェーデン製のミステリー三部作の第一作目。 原作を読み、スウェーデン製のオリジナル映画を見たあと、公開中のアメリカのリメイク映画を見た。 比べてみると、ノールランド地方の孤島が舞台であることや、中年ジャーナリストと世界…

異国移住絵本「ARRIVAL」(アライバル)を衝動買い

絵本も最近はほんとにいろいろあって、子ども用だけではもったいないような凝ったものも、たくさんつくられている。 だが、私は、これはもう完全に個人の嗜好というか、感じ方の問題なのだが、大人のための絵本とか、大人も読める絵本とか、最初から大人ねら…

「ONE PIECE」と「次郎長三国志」

(※敬称略) 長いこと映画ファンをやっていると、以前は思いもよらなかったことが起こる。 近年では、北島三郎が日本語で「ジャンゴ」のテーマを歌うのを劇場で聞けたのが、かなり感慨深かった。(「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」2007年) で、つい最近、…

笠原和夫著「映画はやくざなり」を読む

映画はやくざなり 笠原和夫著(2003年) 新潮社 映画「仁義なき戦い」シリーズで知られる脚本家笠原和夫氏(平成14年没)の遺作集。 わが「やくざ映画」人生、秘伝シナリオ骨法十箇条、未映画化シナリオ「沖縄進撃作戦」の三部からなる。 映画は好きだが、映…

「下町ロケット」を読む

下町ロケット 池井戸潤著(2010年) 小学館 大田区にある中小企業が、会社の存亡をかけて、大企業とのせめぎ合いを繰り広げる痛快企業小説。★以下ねたばれあります。 佃製作所は、自社工場でエンジンを開発製造している精密機械メーカーである。社長の佃は、…

「泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部・第弐部・第参部」を読む<第参部は2013年1月追記>

泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部 酒見賢一著(2004年) 文春文庫 孔明を、変人呼ばわりならともかく、「泣き虫弱虫」呼ばわりしている「三国志」など読みとうないわと思っていたのだが、読み始めてみたら、弱虫泣き虫というよりは奇人変人扱いという感じだったので…

ミステリ・マガジン7月号にはゲゲゲと西部劇が混在!

先日飲み会で会った友人が持ってるの見てほしくなり、帰りに駅の本屋で、ミステリマガジン(7月号、ハヤカワ書房)を買いました。 この雑誌を買うのは随分ひさしぶりです。表紙には、「ゲゲゲのミステリ」という特集タイトルと鬼太郎のカットが載ってます。…

「清水次郎長−幕末維新と博徒の世界」を読む

清水次郎長−幕末維新と博徒の世界 高橋敏著(2010年) 岩波新書 次郎長の養子天田愚庵の著作「東海遊侠伝」をメインの資料として、清水の次郎長と維新前後の政情との関わりについて論じている稀少な一冊。前半は、次郎長の生い立ちと、一家を構えてからの抗…

西部劇探訪記「アリゾナ、ユタ 西部劇の大地を往く」を読む

アリゾナ、ユタ 西部劇の大地を往く 原川順男著(2010年) B5判・118ページ、全編カラー、写真豊富 ★当初は私家版として出されましたが、市田印刷出版出版からの発行が決まり、2011年4月24日より全国有名書店で販売中!! 著者の原川氏とは、西部劇ファ…

「人生を豊かにするための50の言葉」田中雄二著(2010年)

古今の洋画から、心に残る台詞を50選出し、解説を加えたもの。 著者は、毎日新聞社の「淀川長治の証言」シリーズや、共同通信社の映画雑誌MOVIE(廃刊)や「外国映画女優名鑑」「外国映画男優名鑑」などを手がけた生粋の映画好き。 「風と共に去りぬ」「あ…

ブリムストーンの激突 Brimstone

疾走したヴァージルの恋人アリーを追って、1年間旅を続けてきた二人は、リオ・グランデ川に近いうらぶれた町プラシドで娼婦に身を落としたアリーを発見し、店の用心棒を倒して彼女を連れ出す。 ヴァージルとエヴェレットは、ブリムストーンの町で保安官助手…

レゾリューションの対決 Resolution

タイトル原題は、前作に引き続き、往年の西部劇映画を思わせる西部の町の名前。恋人アリーをめぐってトラブルに陥りそうなヴァージルの先手を打って町のボスを倒したエヴェレットは、一人アパルーサをあとにして、山間にあるレゾリューション(解決)という…

「アパルーサの決闘」:小説を読んで映画を見る

●小説 アパルーサの決闘 Appaloosa ヴァージル・コールと相棒のエヴェレット・ヒッチが、アパルーサの町で保安官とその助手となって、町を牛耳る牧場主に立ち向かう。 悪玉の逮捕。移送途中での襲撃。荒野で寝泊まりしての追跡。インディアンとの遭遇。激し…

元プロ野球審判による本「誰も知らないプロ野球「審判」というお仕事」と日本シリーズ第2戦

「誰も知らないプロ野球「審判」というお仕事」 篠宮愼一著(2009年) 祥伝社1982年から1997年までの16年間、セントラルリーグで審判を務めた著者が、プロ野球審判の仕事と球場で接した選手たちについて語る。審判の目を通してみるプロ野球という目線が実に…

「外国映画男優名鑑」発売!

昨年の「外国映画女優名鑑」に引き続き、共同通信社から「外国映画男優名鑑」が発売されました。 ルドルフ・バレンチノからシャイア・ラブーフまで、往年のハリウッド・スターと現在活躍中のアメリカの俳優さんを中心に、300人が紹介されています。 映画…

「外国映画女優名鑑」

共同通信社から「外国映画女優名鑑」が、発売されました。 昨年、マリリン・モンロー、ジョン・ウェイン、ポール・ニューマンなどの特集をした映画雑誌MOVIEのスタッフが手がけています。 (MOVIEは、写真がゴージャスでいい雑誌だったのですが、わずか3号…

「MOVIE」(共同通信社)でジョン・ウェイン特集

21日発売の「MOVIE NO.2」(共同通信社)という映画雑誌で、生誕100年を記念してジョン・ウェインが特集されています。写真や読み物が豊富にあって西部劇やジョン・ウェインが好きな方にはお勧めの1冊です。 特に写真が充実しています。ジョ…

食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字<上>

ベストセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないか」に続く、経理についてのわかりやすい説明本。 今回は、前半部分を費やして「数字」の機能について説明している。著者が見出した数字の4つのルール「順序がある、単位で意味を固定する、価値を表現できる、変化し…

ギムレットには早すぎる 「ロング・グッドバイ」

瞳の色を変えることはできない。 「ギムレットを飲むには少し早すぎるね」と彼は言った。 (レイモンド・チャンドラー作・村上春樹訳「ロング・グッドバイ」から)レイモンド・チャンドラーの傑作「長いお別れ」。銀髪の青年テリー・レノックスと私立探偵フ…

「ワンピースONE PIECE」で一日暮れる

風邪を引いて、喋ると咳き込むし、動くとだるいしで、昨日の日曜は、子どもらが外出したのをいいことに、もう思い切って一切の雑事を放棄。一日中こたつに入ってマンガを読んでいました。こんな贅沢は、15年ぶりくらいかもしれない。 「ワンピースONE PIEC…

漫画三昧

次女が映画を見て「デスノート」に興味を持ち、コミックスの1、2巻を買ってきた。みんなで回し読みしたら止まらなくなり、友に借りたり買い足したりして、結局家族で12巻全部読んでしまった。 さらに「ワンピース」42巻が出た勢いで、古本で1〜3巻買…

「おーい でてこーい」がタイムリー

中学生の英語の教科書に短い物語が載っている。和田誠のイラストがついていて、人々が地面に空いた穴をのぞきこんでいる様子が描かれている。 英語のタイトルは、"Can anyone hear me?"。 娘が開いていた教科書のそのページを見たとき、私の頭の中で、なにか…

「ワン・オブ・アス」というマイケル・マーシャル・スミスのSFハードボイルドを読んだ。いい。