映画「ノマドランド」を見る(感想)

ノマドランド NOMADLAND
2020年 アメリカ 108分
監督:クロエ・ジャオ
原作:ジェシカ・ブルーダー「ノマド:漂流する高齢労働者たち」
出演:ファーン(フランシス・マクドーマンド)、デイブ(デイヴィッド・ストラーザン)、リンダ・メイ、ボブ・ウェルズ、シャーリーン・スワンキー、アンジェラ、カール、ダグ

★映画の内容に触れています!★

 

緊急事態宣言で都内の映画館が軒並み休館になってしまい、埼玉県内の映画館でやっと見る。
ノマドとは、アメリカ国内を車で移動しながら季節労働の現場を渡り歩く生活をしている人たちのことを言うそうだ。
ファーンは、ネバダ州のエンパイアという企業城下町で夫と暮らしていた。夫に先立たれたあとも町にとどまっていたが、経済不況で企業が撤退、工場は閉鎖され、町そのものもなくなってしまった。ファーンは、キャンピングカーを住居用に改造し、ノマドの生活を始める。
登場するノマドたちは、ファーンとデイブ以外は、すべて実在の人たちで、最後のクレジットには、役名と出演者名が同じ人たちが名を連ねる。
歳を取って定職につけなくなったのか、ノマドには高齢者が多い。わたしとあまり変わらない年代の人もいて身につまされる部分も多い。彼らにはそれぞれの事情があり、不安定な状況の中で一生懸命生活を続けている。
ファーンが移動するのはアメリカ中西部で、広大な大自然の風景が見られるのがよかった。清掃の仕事などをして国立公園のようなところをいくつも回るので、奇岩が連なる岩山や、巨大な恐竜のオブジェのある公園など、珍しい眺めが出てきて見ごたえがある。アメリカの自然公園についてよく知っているとより楽しめたかもしれない。
ただ、常に天気が良くない。いつも空はどんよりとしている。往年の西部劇で見られるような、からっと晴れ渡った真っ青な空に赤茶けた岩山というような明るさはない。逆にファーンが季節ごとに勤めるアマゾンの倉庫は、建物も看板もくっきりと色鮮やかできれいである。その対象がなんとも苦い。
大体の内容を聞いていて想像した通りの映画だった。意外だったのは、ファーンがけっこうスカートをはいていたことくらいだ。スカートといってもシンプルな部屋着のようなものだが、「ファーゴ」でも「スリー・ビルボード」でもマクド―マンドにスカートの印象はなかった。こういうアウトドアな生活をしていると、逆に休日は気分を変えてスカートをはきたくなるのかもしれないなどと思った。
ファーンは、久しぶりに訪ねた妹にいっしょに住もうと言われてもあまりそりが合わないので断り、ちょっといい感じになったノマド仲間のデイブが息子の家に行って孫に会ってすっかりそこになじんでしまい、一緒に住もうと言われても、やはりそこからもひっそりと逃れ去ってしまう。不安定でも自由な生活を望む。ホームレスじゃなくてハウスレスだとファーンは言うが、そのホームは独り暮らしのせまくうす暗いキャンピングカーだ。肉体労働をいつまで続けられるのか、これからのことを考えても切なくなる。そういう映画だった。

 

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「熱源」を読む(感想)

熱源
川越宗一著(2019年)
文芸春秋
第162回直木賞受賞作。
樺太(サハリン)を舞台に、1880年代後半から日露戦争開戦による日本軍の島への侵攻を経てその後にいたる時代を背景に、樺太生まれのアイヌ、ヤヨマネクフ(日本名山辺安之助)と、ロシアの流刑囚ブロニスワフ・ピウスツキの二人の男の生涯(の一部)を描く。物語のはじめと終わり(エピローグとプロローグ的な部分)は太平洋戦争終戦時となっていて、本筋の話とは時代が隔たっている。
ヤヨマネクフは、一族とともに樺太から北海道へ移住し、石狩川近くの対雁(ツイシカリ)村で暮らすが、コレラで妻を亡くし、故郷の樺太へ戻ってくる。ブロニスワフはポーランド人だが、生まれたときにすでに祖国はなく、リトアニアで育ち、ロシアの大学在学中に革命運動家による皇帝暗殺計画に関わり、流刑囚として樺太に送られる。
ヤヨマネクフは漁師として身を立て集落の頭領となり、1910~12年に白瀬矗(のぶ)陸軍中尉が率いた日本人による南極探検隊に犬橇の専門家として参加する。ブロニスワフは、流刑囚のときに島の原住民族オロッコ(ニグブン)と交流をもったことから異民族の文化を研究するようになり民俗学者となる。二人は実在の人物である。
他に実在の人物として、ヤヨマネクフの2人の友人、南極探検隊にともに加わったシシラトカ(日本名花守信吉)、日本人の父とアイヌの母を持ち教師となった千徳太郎治、アイヌの村に視察に訪れる西郷従道(つぐみち。西郷隆盛の弟)、言語学者金田一京助大隈重信白瀬矗南極探検隊隊長、アレクサンドル・ウリヤノフ(ブロニスワフの大学の先輩で革命思想家)、ユゼフ・ピウスツキ(ポーランド建国の父、ブロニスワフの弟)らが登場する。
アイヌについては、北海道に旅行したときに木彫りのペンダントや頭に巻く独特のデザインの鉢巻きを買ったことや、「知床旅情」の歌詞の「羅臼の村」とか「ピリカが笑う」とか、「コタンの口笛」という小説があったなということくらいしか思い浮かばず(「ゴールデンカムイ」は見ていない)、その文化や歴史については、初めて知ることが多かった。アイヌが「人」で、コタンが「村」の意味だとか、五弦琴(トンコリ)という楽器や熊送り(イヨマンテ)の儀式、そして成人女性が口の周りに入れる刺青のことなど、とても興味深く読んだ。
ロシア革命ポーランドの歴史なども世界史や映画で知る程度の知識しかなかったので、勉強になった。
ヤヨマネクフもブロスニワフも、大国により故国を侵略され奪われ、征服した国への同化を強要される。常に自分は何者かと自問し拠り処を求めるという点で二人は似ている。
二人の男と、それとけっこうな量を割いてアイヌの少女イペカラの様子が語られていくが、話も時代もぶつ切りに飛ぶ。歴史を追っているからそうなるのだろうが、このさきこの話はどこへいくのだろうと思ったり、終盤で南極探検が出てきて驚いたりした。知らなかった歴史を知る喜びは得られるのだが、雑誌や新聞の連載記事や歴史探訪のドキュメントの再現ドラマ部分を見ているようで、あまり小説を読んでいるという感じはしなかった。読んでいて、アイヌの女性の刺青や南極探検隊の面々の写真が見たくなって検索したが、本にそうした写真が載っていないのが欲求不満になるような内容だ。
登場人物表にはヤヨマネクフが一番始めに載っているが、彼の登場はとぎれとぎれで最後まで異民族の男として描かれている。作者の視線は樺太では常によそ者であるブロニスワフとともにあるようだ。日本の文化についてアイヌ目線で異文化のものを見たような描写がたびたびあるが(畳の描写など)、それがどうも表面的に思えてしまい、わたしとしては、もう少しがんばってもっと深いところでヤヨマネクフに寄り添ってほしかったように思う。タイトルの「熱源」という言葉にしても、これをキーワードに一本筋を通したいというのが作者の意図なのだろうが、言葉が上滑りしているようで、心にずんとくる「熱」の手ごたえは得られなかったのが正直なところだ。

<登場人物>
ヤヨマネクフ(山辺安之助)
シシラトカ(花守信吉) ヤヨマネクフの友人。
千徳太郎治 ヤヨマネクフの友人。和人の父とアイヌの母の間に生まれる。
キサラスイ アイヌの少女、後ヤヨマネクフの妻。
チコビロー 対雁(ツイシカリ)村のアイヌの頭領。
バフンケ 樺太、アイ村の頭領。
イペカラ バフンケの養女。
チュフサンマ バフンケの姪。
ブロニスワフ(ブロニシ)・ピウスツキ ポーランド人。
アレクサンドル・ウリヤノフ ブロニスワフの大学の先輩で革命思想家。レーニンの兄。
レフ・シュテルンベルグ サハリンに住む民族学者。テロ組織「人民の意志」の残党。
ヴァツワフ・コヴァルスキ 学者。ユゼフの仲間。
ユゼフ・ピウスツキ ブロニスワフの弟。ポーランド共和国建国の父、初代国家元首
金田一京助 東京帝大生(後に助教授)。アイヌ語の研究家。
白瀬矗(のぶ) 陸軍中尉。南極探検隊隊長。(南極探検は1910~12年に実施)
クルニコワ ソビエト軍伍長。

 

【第162回 直木賞受賞作】熱源 (文春e-book)

【第162回 直木賞受賞作】熱源 (文春e-book)

 

 

映画「すばらしき世界」と「シェーン」(感想)

すばらしき世界
2020年 日本 126分
監督・脚本:西川美和
原案:佐木隆三「身分帳」
出演:三上正夫(役所広司)、津乃田龍太郎(仲野太賀)、庄司敦子(梶芽衣子)、庄司勉(橋爪功)、松本良介(六角精児)、井口久俊(北村有起哉)、下稲葉明雅(白竜)、下稲葉マス子(キムラ緑子)、吉澤遥(長澤まさみ)、西尾久美子(安田成美)、リリー(桜木梨奈)

★あらすじとネタバレあります!★

殺人を犯し、服役していた三上は、13年の刑期を終えて出所する。
佐世保のヤクザだった彼は、裏社会と縁を切り、東京で堅気として暮らす決意をしている。
身元引受人である弁護士の庄司とその妻敦子が三上を応援する。
三上は、自分を施設に預けて行方不明となっている母を見つけ出そうと、テレビ局に母の捜索を依頼し、その際に「身分帳」の写しを送る。(「身分帳」とは刑務所での収容者の経歴や入所時の態度などを記録した書類で、少年のころから入所を繰り返してきた三上は自分の身分帳の写しを作っていたのだ。)テレビ局のやり手プロデューサー吉澤は、ADを辞めて小説家として身を立てようとしている若者津乃田に三上の取材を命じる。
三上は、アパートの部屋を借りて一人ぐらしを始めるが、身体を患っていることや元ヤクザの経歴などから仕事はなかなか見つからない。
役所で生活保護の申請をするが、担当の井口の最初の反応は渋い。
近所のスーパーでは店長の松本に万引きと間違えられるが、疑いが晴れると松本の態度は軟化する。
三上は、佐世保に飛んでかつての兄弟分下稲葉を訪ねる。下稲葉は三上を歓待するが、暴対法の元での彼らの苦しい事情を目の当たりにした三上は東京に戻る。
三上は、幼少時代を過ごした児童養護施設を訪れるが、彼の母の消息は完全に途絶えているのだった。
三上は、介護施設で仕事を得て、働き始める。

庄司夫妻や津乃田や松本や井口らの三上との接し方はどこか馴染みがあると思った。状況も時代も国もジャンルもちがうが、西部劇の名作「シェーン」(1953年)と共通する感じがあるのではと気づいた。西部劇愛好者の仲間の中には「シェーン」の熱烈なファンが少なからずいるので、こんなことを書いたら、えーっと言われるかもしれないが、もし、今の日本で、アクション優先とか勧善懲悪主義とかなしに心持として「シェーン」的なものを撮ったらこんな感じになるかもなあと思ったのだ。
斬った張ったの世界(西部劇では銃の世界)の男が、堅気の人たちの中に入って生活をともにし、その中で堅気の人たちがそれぞれの立場からそれぞれの好感と距離感を持って、彼と接していく。その適度に緊張感をもった関係が、映画の魅力になっている点が同じだと思った。シェーン(アラン・ラッド)は、得意の早撃ちで悪党どもをやっつけ、ヒーローとなって去っていく。一方、三上の刺青と武力は、当世の東京では災いしか呼ばない。彼の正義感も空回りする。しかし、それでも彼は、周囲の人々にとってヒーローたりえていたのではないかと思う。彼らは、三上が持つ、自分にはないものに魅かれていたと思う。
「シェーン」では、彼に淡い想いを抱く人妻マリアン(ジーン・アーサー)や彼に憧れる少年ジョーイ(ブランドン・デ・ワイルド)や、彼を男として評価し友情を抱きつつも妻の件で複雑な思いを抱く開拓者スターレットヴァン・ヘフリン)ほかがいたが、三上を取り巻く人々は主に老人とおじさんと青年で、若い女性や子どもはいない。(若い女性は吉澤がいるが、彼女は番組のネタとしてしか三上をみていないので、恋愛対象からは外れる。)しかし、三上に恋愛感情を持つ女性や彼に憧れる少年が絡んだら、だいぶあざとくなりそうな気もするし、地味ながら味わいのある顔ぶれでよかった。だが、それでも、井口以外のみんなが三上を通じて知り合ってしまって、彼を応援する会みたいになっていくのは、ちょっといかがなものかと思った。ここは、それぞれに三上と接していた人々が、彼の死によって初めて顔を合わせて、三上さんを思う人は自分以外にもこんなにいたんだと、ちょっとくやしいようなうれしいような気持になったほうがよかったんじゃないかな、と勝手に思った。タイトルも令和向きなんだろうが、なんだかなと思った。わたしとしては、「三上」でいいかな。

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身分帳 (講談社文庫)

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シェーン HDリマスター [DVD]

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Netflix配信の西部劇「この茫漠たる荒野で」を見る(感想とあらすじ)

この茫漠たる荒野で NEWS OF THE WORLD
2020年 アメリカ NetfliX配信(2021年) 119分
監督:ポール・グリーングラス
原作:ポーレット・ジャイルズ “NEWS OF THE WORLD”
出演:ジェファーソン・K・キッド大尉(トム・ハンクス)、ジョハンナ・リオンバーガー/シカダ(ヘレナ・ゼンゲル)、サイモン・ブードリン(レイ・マッキノン)、ドリス・ブードリン(メア・ウィニンガム)、ガネット夫人(エリザベス・マーヴェル)、アルメイ(マイケル・アンジェロ・コヴイーノ)、ファーリー氏(トーマス・フランシス・マーフィ)、ジョン・キャリー(フレッド・ヘッキンジャー)、ウィルヘルム・リオンバーガー(ニール・サンディランズ)、アンナ・リオンバーガー(ウィンサム・ブラウン)

★映画の内容について書いているので、まだ見ていない人はご注意ください。


Netflix配信によるトム・ハンクス主演の西部劇。
文芸作品のようなやけにきどった邦題がついているが、原題は「世界のニュース」で、これも西部劇らしくはない。舞台は、1870年のテキサス。ジェファーソン・K・キッド大尉は、元南軍の退役軍人で、新聞の記事の読み聞かせをしながら西部の町を巡って生計をたてている。原題は、「世界のニュースをお届けします」という、彼の口上からきている。
ある日、彼は旅の途中でジョハンナという10歳の少女と出会う。彼女は、幼いころカイオワ族に家族を殺され、自分は連れ去られて6年間彼らとともに暮らしていた。が、騎兵隊の討伐により、今度はカイオワの家族を殺され、再び孤児となったのだ。
彼女はドイツ移民の子で、叔父夫婦がテキサス南部のカストロヴィルにいると知ったキッドは、人手不足でなかなか来ない騎兵隊の担当者に代わって、彼女をそこまで送り届ける決心をする。
テキサス州北部のウィチタフォールズから、ダラスを経て、南部のサンアントニオ近くのカストロヴィルまでの馬車の道のりは長い。ジョハンナは、「シカダ」と名乗りカイオワ語しかしゃべれず、英語を解さない。ドイツ語にはちょっと反応するが、4歳までの記憶はほぼ失くしているようである。キッドは、サンアントニオに家があり、妻が待っているはずなのだが、なにか訳ありで帰ろうとしない。馬車の旅を続けながら、二人は、お互いの言葉を教え合い、少しずつ心を通い合わせていく。
西部劇だが、活劇というよりは旅の映画だ。南北戦争終結から数年後、南部の人たちは苦しい生活を強いられている。キッドは同じところを巡回しているようで、町の人たちは彼がくると声をかけ、読み聞かせの場所に集まってきて、キッドが語る知らない町のできごとに耳を傾けるのをささやかな楽しみにしている。情報が行き届かない時代ならではのなごやかさが感じられる。
キッドとジョハンナは旅先で様々な人々に出会う。南部の町を管理する元北軍の騎兵隊員たち、カイオワ語を喋れるホテルの女主人(ガネット夫人)、南軍くずれの悪党(アルメイ)、バファロー狩りで成功し小さな町を牛耳る男(ファーリー氏)、彼の支配から逃れて新天地を目指す若者(ジョン・キャリー)など。
アクションシーンはそう多くないのだが、岩場での銃撃戦は見応えがあった。ジョハンナを狙うアルメイとその仲間の男たちが、二人の行く手を阻み撃ち合いになる。キッドは友人から借りた拳銃のほかには鳥撃ち銃しか持っていない。ジョハンナがとっさの機転で、ニュースの読み聞かせで集めたダイム(十セント硬貨)を持ってきて、それを何枚も重ねて弾薬のカートリッジに詰めて撃つのが興味深かった。白昼の、岩場での銃撃戦はやはりいい。
しかし敵は人だけでなく、西部の自然は過酷で、二人は急斜面で馬車が暴走して荷物も馬も失くし、砂漠をさまよっているところで砂嵐に見舞われる。嵐の荒野の中に現れたインディアンの一行はまるで幻のようだったが、彼らはカイオワ語で話しかけるジョハンナに一頭の馬をくれるのだった。
伯父の住む町が近づいてきたあたりで、ジョハンナはカイオワにさらわれる前に住んでいた家を見つける。6年前の惨劇の跡は風化している。黒ずんだ血痕が残る空き家の室内に見入るジョハンナと彼女を見守るキッド。言葉や回想シーンなどによる説明は何もなく、ただ風が吹いている感じがなんとも悲しい。
物静かで、しぶい色調の画面、淡々と進む物語に重量感のある銃声という、最近の西部劇にみられがちな要素が盛り込まれている。つらいことの多い話だが、西部の風景と主演の二人がいいので、そんなに暗くならずにしみじみしながら見ることができた。

以下、ジョハンナの叔父夫婦に会ってからのあらすじである。

 

農夫の叔父夫婦は、苦しい生活のせいか、妹(ジョハンナの母)とあまり仲がよくなかったせいか、ジョハンナと再会してもあまりうれしそうではなく、ただ労働力が増えたことを喜ぶ。物語が好きだから本を買ってやってくれというキッドに、そんなもの役に立たないという。
不安を残しつつ、肉親の元で暮らすのが一番いいだろうと、彼はジョハンナを叔父夫婦に託して、サンアントニオに帰る。そこで、彼の妻はすでにコレラで亡くなっていることがわかる。彼は、戦争で多くの命を奪った裁きで妻が死んだのだと言うが、町に住む古い友人は、そんな彼の言葉を否定し、彼を慰める。
ジョハンナは、叔父夫婦とうまくやって行けずにいた。キッドは彼女を迎えに行く。叔父夫婦もほっとした様子でジョハンナを手放す。キッドとジョハンナはいっしょにニュースの読み聞かせの旅を続けるのだった。

www.netflix.com

 

川越スカラ座で映画「無頼」を見る(感想)

無頼
2020年 日本 公開チッチオフィルム 146分
監督:井筒和幸
主題歌:「春夏秋冬~無頼バージョン」泉谷しげる
出演:井藤正治松本利夫)、佳奈(柳ゆり菜)、井藤孝(中村達也)、橘(ラサール石井)、川野(小木茂光)、谷山(升毅)、中野(木下ほうか)
川越スカラ座で見る。
川越スカラ座は、小江戸川越(埼玉県川越市)のレトロな街並みの中に立つ有名な「時の鐘」の塔のある通りから小さい路地に入り、さらに小さい路地を曲がったところにある小さな映画館で、かねてより行ってみたかったところだ。なぜ二番館のここで今公開中の「無頼」をやっているのかというと、おそらくここでロケをしたからだ。映画の中に出てくる昭和の映画館前でのシーン、「スカラ座」の文字にタイル張りの壁もせまい通りも入館前に見た景色そのままなのだった。
というわけで、期せずしてこの映画を見るには最適の映画館で見ることができたのだった。
昭和31年から始まる映画は、冒頭モノクロで昭和の風景を映し出す。ああまたノスタルジーかとうんざりしかけたのだが、出てくる貧乏な少年井藤正治は早口でギラギラしていてそれっぽく、以後彼がヤクザになって親分になって還暦を迎えて引退するまで、たんたんとその人生の断片が描かれる。昭和史というが、昭和への郷愁はほぼ感じられず、ただ、こういうことがあった、ああいうこともあったと、社会的事情を背景に極道を突き進む彼とその周辺の男たちの生き様を語っていく。語り口は平成を迎えても変わることはなく、おれはまだまだ現役だぜという監督の気構えが伝わってくるような思いがした。
早口の関西弁は何言ってるかよくわからないこともしばしば、次々に登場する男たちの顔は把握できず、どっちがどっち側で抗争の展開もよくわからなくなってきて、いいからとりあえず今目にしているシーンを楽しもうと腹を括ったあたりで、「ガキ帝国」を見たときの感じを思い出した。断片の連続なので、見る端から忘れて行って、スカラ座が出てきたことも、2日くらい経ってからそういえばあの映画館、川越スカラ座っぽかったと思ったことを思い出して検索して確認したのだった。
主演の松本利夫さんはエグザイルだそうだが(エグザイルには詳しくないが、ヤクザ役のイメージはない)、茫洋としつつ危ない感じがよかった。佳奈役の柳さんは、だんだん組の姐さんになっていく様子がよかった。
ドライで暴力的だが、他の同ジャンルものと比べると監督の目は基本やさしいんじゃないかと思う。ただし、ぬるさも甘さもおしつけがましい涙もなく、そこが好きなところだ。

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川越スカラ座

 

 

中華SF三部作の二作目「三体Ⅱ 黒暗森林」を読む

三体Ⅱ 暗黒森林
劉 慈欣著 (リウ・ツーシン りゅうじきん) (2008)
監修:立原透耶
翻訳:大森望、立原透耶、上原かおり、泊功
早川書房(2020) (キンドル版購入)

★物語の内容に触れています。注意!★

 

 

やっと読了。1作目は、そこそこのスピードで読み進められたのだが、本作はなかなか読めなかった。つまらないわけではないが、動きが少なくて地味な頭脳戦が大半をしめるうえに、専門用語が多くて概念をつかむのに時間がかかったということが大きいと思う。また、主人公の羅輯(ルオ・ジー)の理想の女性との恋物語にほとんど興味をそそられなかったこともあったと思う。メモを取りながらの読書は勉強してるみたいでなかなかめんどうだった。どこかに書いておかないとまた忘れてしまうので、少々長くなってしまったが、内容を書き留めておく。(後の方に年譜、用語、登場人物のメモを添付)

SF小説でめんどうなのが、その中だけでしか通用しない用語を覚えなければならないことだ。漢字表記にカタカナやアルファベット3文字(組織の略語など)のルビが振ってあったりするのだが、この小説に出てくる用語は漢字表記のものも多く、字面を見るだけで楽しいものも多い。表題の「黒暗森林」とか「精神印章」とか「星艦地球」とか味わい深い。

前半の「面壁計画」については、これも名称はなかなかおもしろい(達磨の故事からきているらしい)。地球人の言動はすべて智子(ソフォン)を通して、三体人に筒抜けである。が、三体人はうそがつけない。発言イコール真実である。が、地球人はうそがつける。ということで、選ばれた「面壁者」が対三体人作戦を各々の胸の内に秘めたまま推し進めるという、全世界公認の作戦計画である。しかし、三体協会はそれぞれの面壁者に対して「破壁者」を送り込み、計画の中身を暴かれた面壁者の計画はそこで破綻する。
4人の面壁者たちは、それぞれ作戦を進めていく。元アメリカ国防長官タイラーの蚊群と呼ばれる水爆特攻隊計画や元ベネズエラ大統領ディアスの特大核爆弾を使った太陽系惑星連鎖爆発計画の真意は破壁者に見破られてしまう。
脳科学者ハインズによる脳の開発研究はそれを達成するための技術力が追い付かずにとん挫するが「精神印章」という意識改造マシンを生み出す。これは地球文明よりずっと進んだ技術を持ち圧倒的に優位な三体軍との戦いにあたって敗北主義や逃亡主義に陥る者が増える中、マシンによって人の意識を操作し、地球は勝つという信念を人々に抱かせるもので、自ら望んだ者のみが「信念センター」で処置を受け、処置を受けた者は「刻印族」と呼ばれる。ハインズは、科学技術の発展を待って長期冬眠に入る。
4人目の面壁者が社会学者の羅輯(ルオ・ジー)だが、彼は愛する女とともに北欧の森と湖に囲まれた別荘で優雅な田舎生活を楽しむ。やがて、何かに気付いた彼は、ある星に「呪文」をかけるが、彼の命を狙う三体協会が送り込んだDNA誘導式生物兵器によって重篤状態に陥り、こちらも長期冬眠に入る。(このDNA誘導式生物兵器がすごい。普通の人々には軽いインフルエンザのような症状を発症するだけだが、特定のDNAを持った人にだけ致命的な攻撃をするウィルスで、暗殺にはもってこいの秘密兵器なのだ。さらに冬眠から目覚めた羅輯(ルオ・ジー)は、はるか昔に仕込まれた暗殺プログラムによって様々な殺人現象によって命を狙われたりもする。)

物語が始まってから202年後、ハインズと羅輯は、200年の眠りから目覚める。それは三体艦隊の最初の探査機が木星に近づきつつあるときであった。

面壁者の言動と並行して、中国海軍の軍人掌北海(ジャン・ペイハイ)の半生も描かれる。中国海軍政治委員だった彼は、未来増援特別分遣隊として人工冬眠によって未来へ送られる。危機紀元200年代、地球は地上の国々からなる地球インターナショナルと、宇宙艦隊からなる艦隊インターナショナルのふたつの行政群に分かれ、艦隊はひとつの国家のような存在となっている。冬眠から目覚めた掌北海は、205年にアジア宇宙艦隊戦艦<自然選択>の艦長代理となって、敵探査機を迎えるべく、木星近くの待機域に向かう。精神印章を受けずに地球軍の勝利を信じて戦いに挑む彼は、生粋の古き軍人として205年には稀有な存在となっている。
宇宙船内部の部屋は、すべて球形になっているのが興味深かった。(これは宇宙は円運動からなるという中国の易の陰陽思想にある太極の概念を思わせる。)

ここにきて(全体の終わり3/4くらいで)、やっと壮大な宇宙戦が展開する。200年の間には状況も変わり、自分たちは優位にあると余裕しゃくしゃくとなっていた地球人だが、地球の宇宙艦隊は三体艦隊から先行して木星近くに到着したたった一機の小さな探査機から思わぬ猛攻を受ける。「水滴」と呼ばれる探査機は、水滴型の優美な形をしている小型機だが、あっという間に2000隻からなる地球の宇宙艦隊をほぼ壊滅してしまう。そのすさまじさに度肝を抜かれる。密集して平らな長方形に並んだ艦隊への攻撃は、さながら、「三国志演戯」における赤壁の戦いでの呉軍の攻撃のようである。連環の計により、密集して互いにつながりあっていた曹操軍の船団は、散り散りに逃げることがかなわず、壊滅状態になるのだ。

逃げ延びた宇宙戦艦は、たった7隻、しかし、これらの戦艦の行く手にも残酷な未来が待ち受けている。この暗黒へまっしぐらの怒涛の展開に、漸く気持ちが沸き立ってくる。タイトルの「黒暗森林」の意味、これまで宇宙において他の知的生物がなぜ発見されなかったか、「猜疑連鎖」「文化爆発」という葉文潔が羅輯(ルオ・ジー)にほのめかした宇宙社会学の理論(彼女ならではの発想だ)が明かされる段になると、底なしの暗黒の渕が見えてくるようで、ぞくぞくする。(これは、これまで未来からきた人物など一度も見たことがないのでタイムマシンは存在しないのではないかという時間旅行の話の謎にも適用できそうな気がする。)

でも、それまでがとにかく長い。間に200年の時が流れ、あいかわらずスケールの大きさを感じさせ、細部にはもろもろの秀逸のアイデアが光るが、面壁者それぞれの計画や、掌北海(ジャン・ペイヘイ)の思惑や、羅輯(ルオ・ジー)の呪文など、撒いた種の芽が出るまでが長い。おもしろいが、わたしにとっては忍耐が必要な読書だった。

<年譜>
危機紀元(危機元年=西暦201×年)
1部 面壁者 危機紀元3年(三体艦隊到着まであと4・21光年)、
2部 呪文  危機紀元8年(同4・20光年)、12年(同4・18光年)、20年(同4・15年)ディアス、ハインズ冬眠からめざめる、ディアスの計画さらされ撲殺
3部 黒暗森林 危機紀元205年(同2・10年)、208年(同)2・07年)

<用語>
・地球三体協会(Earth Three-body Organization, ETO)
・宇宙社会学:二つの公理
 1. 文明は生き残ることを最優先とする。
 2. 文明は成長し拡大するが、宇宙の総質量は一定である。
 *二つのキーワード 「猜疑連鎖」と「技術爆発」
・智子(ソフォン。一個の陽子で造られた三体文明のスーパーコンピュータ) 
・惑星防衛理事会(PDC
・面壁者、破壁者
ハッブル望遠鏡Ⅱ(ハッブル望遠鏡が超高性能化された宇宙天体望遠鏡)、
・斑雪(「はだれゆき」と読む。地球に向かってくる三体艦隊の軌跡をその見た目からこう呼ぶ。)
・天梯Ⅲ(ティアンティ。地上と宇宙空間の施設をつなぐ軌道エレベーター、3機あるうちの1機)、
黄河(ファンフー)宇宙ステーション
・敗北主義、逃亡主義
・DNA誘導式生物兵器
・精神印章(メンタルシール)、信念センター、刻印族
・大峡谷(羅輯(ルオ・ジー)らが人工冬眠中に起こったらしい大恐慌のような不景気時代)
・地球インターナショナル、艦隊インターナショナル(三大艦隊:アジア艦隊・北米艦隊・欧州艦隊)、太陽系艦隊連合会議(SFJC):SFJCは、艦隊インターナショナルにおける地球の国連のようなものである。
・深海状態(宇宙艦隊の戦艦が超高速に入る際に、乗務員は衝撃を和らげるため特殊な液体の中で眠った状態となる。「水滴」の攻撃により深海状態に入る前に超高速運転に入った艦内では、乗務員たちのむごたらしい死にざまが情け容赦なく描かれる。)
・星艦地球(地球に戻ることが叶わず、目的地となる久遠の異星を目指して宇宙旅行を続ける宇宙艦内の「地球」。乗務員たちは艦内を生涯生活の場とし、何世代も生きていくこととなる。)

○三体の探査機「水滴」の攻撃から逃れた宇宙艦隊戦艦
・<自然選択><藍色空間(ブルースペース)>:アジア艦隊、<企業(カンパニー)>:北米艦隊、<深空(ディープ・スカイ)>:アジア艦隊、<究極の法則(アルティメット・ロー)>:ヨーロッパ艦隊→<藍色空間>
・<量子><青銅時代>:アジア艦隊→<青銅時代>

<登場人物>
〇Ⅰから登場
・葉文潔(イエ・ウェンジエ ようぶんけつ):天体物理学者。のちに地球三体協会総司令官
・史強(シー・チアン しきょう)通称大史(ダーシー):元警官。Ⅱでは羅輯の警護官で、彼の唯一の友人兼理解者となる。
・常偉思(チャン・ウェイスー じょういし):作戦指令センター陸軍少将
・マイク・エヴァンズ:地球三体協会降臨派の中心人物。「主」と交信可能。
・丁儀(ディン・イー ちょうぎ):葉文潔の亡くなった娘楊冬の恋人だった理論物理学者。制御核融合技術研究者で、205年の「水滴」調査に加わる。
〇Ⅱから登場
・羅輯(ルオ・ジー らしゅう):天文学から社会学へ転向した学者。面壁者。
・荘顔(ジュアン・イエン そうがん):中国画専攻の学生。羅輯の夢の恋人から妻となる。
・セイ:国連事務総長
・ガラーニン:惑星防衛理事会議長
フレデリック・タイラー:もとアメリカ国防長官。面壁者。
・マニュエル・レイ・ディアス:前ベネズエラ大統領。面壁者。
・ビル・ハインズ:脳科学者、もと欧州員会委員長。面壁者。
・山杉恵子:ノーベル賞受賞の脳科学者。ハインズの妻。
・章北海(ジャン・ペイハイ しょうほっかい):中国海軍政治委員、未来増援特別分遣隊として人工冬眠。205年では<自然選択>艦長代理。
・呉岳(ウー・ユエ ごがく):中国海軍空母艦長
・常偉思(チャン・ウェイス じょういし):初代宇宙軍司令官
・張援朝(ジャン・ユエンチャオ ちょうえんちょう):退職した化学工場労働者。老張(ラオジャン)
・楊普文(ヤン・ジンウェン ようしんぶん):退職した中学教師。老楊(ラオヤン)
・苗福全(ミアオ・フーチュエン みょうふくぜん):山西省の石炭王
〇危機紀元205年・アジア艦隊
・東方延緒(ドンファン・イェンシー とうほうえんしょ):宇宙艦「自然選択」艦長
・藍西(ラン・シー らんせい):<自然選択>主任心理学者

 

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三体Ⅱ 黒暗森林(上)

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三体Ⅱ 黒暗森林(下)

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ドキュメント映画「ようこそ映画音響の世界へ」を見る(感想)

ようこそ映画音響の世界へ MAKING WAVES: THE ART OF CINEMATIC SOUND
2019年 アメリカ 94分
監督:ミッジ・コスティン
出演:(音響技師)ウォルター・マーチベン・バート、ゲイリー・ランドストロームほか多数
(監督・製作者)ジョージ・ルーカススティーヴン・スピルバーグフランシス・フォード・コッポラバーブラ・ストライサンドロバート・レッドフォードデビッド・リンチアン・リーソフィア・コッポラ、ビーター・ウィアー、クリストファー・ノーラン
映画における「音」の重要性と音響技術の歴史についてのドキュメンタリー。
サイレント映画から、エジソンが果たせなかった映像と音の組み合せが実現したトーキーへ、ひとつのトラックから16ものトラックでの録音へ、そしてモノからステレオへさらに5.1チャンネルサラウンドへと、音響技術が進化してきた様子や、セリフ、効果音、音楽の3つの「音」のそれぞれの効果と技術などを素人にもわかりやすく紹介している。技術についての説明、技師や監督やスタッフのインタビューのあと、それに即した様々な有名作品の場面を挿入して、次から次へとテンポよく語られるので、とても興味深く、飽きることなく一気に見られた。
往年の西部劇の銃撃カットが立て続けに映ってそれが全部同じ銃声だとか、ラジオドラマの経験からオーソン・ウェルズが「市民ケーン」では反響音を駆使したとか、ヒッチコックは効果音のみを用いて「鳥」の襲撃シーンの怖さを強調したとか、バーブラ・ストライサンドが「スター誕生」でステレオ音響に自費で挑んだとか、「ゴッドファーザー」では前衛音楽家を採用して「軋み」音で感情を表現したとか、「地獄の黙示録」では銃撃音、船のエンジン音、ヘリコプターの音など、音ごとに担当が決まっていたとか、「スター・ウォーズ」のR2D2の「話し声」に苦労したとか、ぱっと思い出すだけでも興味深い内容がいくつもあった。最後はハン・ソロとチューバッカがファルコン号でワープして消える音で終わるのが(個人的には)よかった。

<紹介される映画>
※ほんの一瞬だけのものもあり(「七人の侍」など)。「スター・ウォーズ」と「地獄の黙示録」の出番が多かったように思うが、とにかく次から次へといろいろな映画の場面が出てきて楽しい。
スター・ウォーズ」「THX-1138」「ワンダー・ウーマン」「ブラックパンサー」「2001年宇宙の旅」「イージー・ライダー」「風と共に去りぬ」「勝手にしやがれ」「キング・コング」「ブレイブハート」「第七の封印」「市民ケーン」「トップガン」「七人の侍」「アルゴ」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「わたしに会うまでの1600キロ」「リバー・ランズ・スルー・イット」「普通の人々」「プライベート・ライアン」「エレファント・マン」「イレイザーヘッド」「ゴッドファーザー」「ファニー・ガール」「地獄の黙示録」「インセプション」「ダークナイトライジング」「スター誕生(1976)」「ジョーズ」「ジュラシック・パーク」「ロスト・イン・トランスレーション」「ブロークバック・マウンテン」「ROMA/ローマ」「スパルタカス」「ナッシュビル」「マトリックス」「鳥」「東への道」「ジャズシンガー(1927)」「赤い河」「トイ・ストーリー」「ルクソーJr.」ほか

 

映画『ようこそ映画音響の世界へ』オフィシャルサイト

 

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